2001 Fiscal Year Annual Research Report
膜小胞の新奇なトポロジー変換の分子機構解明とその応用としての細胞モデル構築
Project/Area Number |
13480218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宝谷 紘一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 金吾 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20262842)
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Keywords | リポソーム / 膜小胞 / 細胞モデル / 暗視野顕微鏡 / 界面活性剤 / 脂質 / トポロジー / フリップフロップ |
Research Abstract |
(1)トポロジー変換における脂質組成と界面活性剤の相関解析。 フリップフロップ能の高い中性脂質の場合には、界面活性剤によって外側層から脂質分子が除かれても、内側層から脂質分子が持続的に供給されて、膜小胞は持続的縮小するケースが大多数を占めた。比較的速く脂質が失われる場合には、水透過による体積減少が遅れ、表面積当たりの脂質分子密度が減り、閾値となる密度を下回ると膜の穿孔が生じ、膜の激しい揺動が起こることを明らかにした。この揺動は、脂質がおおよそ4%失われたときに起こった。脂質が均等に失われると仮定すると、疎水相互作用を破綻させるのに要する平均伸張距離は、おおよそ0.1Åと見積もられる。 一方、正電荷を持つ脂質膜に正電荷を持つ界面活性剤を働かせた場合には表裏反転が生じるケースが多かった。内側層からフリップフロップによって外側層へ脂質分子が供給されない場合には、内側層の脂質密度が相対的に高くなり、その結果曲げエネルギーが上昇して表裏反転する考えられる。この場合の剪断を生じさせるのに必要な脂質間平均伸張距離は2Åであった。この値は、持続的縮小の場合に比べると大きい。従って、二分子層膜の片方の層が正常なら、膜小胞は外層の多少の損傷を補える可能性を示唆している。このように、脂質分子の疎水結合が破綻をきたす距離を見積もることができた。 (2)トポロジー変換に伴うリポソームの形態変化の高速計測とその理論的解析。 持続的縮小過程におけるリポソームの激しい周期的揺動は極めて興味深い新現象である。その過程の高速撮像ビデオデターを計測し、球面フーリエ解析を行った。膜の周期的揺動は、瞬間的穿孔に伴う体積の減少と、引き続く過剰膜表面のブラウン運動によって説明できることが解った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] F.Nomura: "Capabilities of liposomes for topological transformation"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 98. 2340-2345 (2001)
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[Publications] K.Ichihara: "Visualization of the Stop of Microtubule Depolymerization at the Cluster of Microtubule-Associated Protein2(MAP2)"J.Mol.Biol.. 312. 107-118 (2001)
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[Publications] F.Nomura: "Dynamic transformation of liposomes revealed by dark-field microscopy"Studies in Surface Science and Catalysis. 132. 495-500 (2001)
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[Publications] F.Nomura: "Morphological and Topological Transformation of Membrane Vesicles"J.Biol.phys.. (in press). (2002)
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[Publications] K.Takiguchi: "Liposomes Possess Drastic Capabilities for Topological Transformation"Eur.J.of ChemPhys.Chem.. (in press). (2002)
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[Publications] 宝谷紘一: "細胞モデル形成"化学工業. (印刷中). (2002)
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[Publications] H.Hotani et al.: "New Approaches to Structural Mechanics,Shells and Biological Structures"Kluwer Academic Publishers,Dordrecht,The Netherlands (in press). (2002)