2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経系におけるRas-MAPキナーゼシグナル伝達経路の機能の解明
Project/Area Number |
13480224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
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Keywords | 線虫 / 化学走性 / 行動可塑性 / Ras-MAPキナーゼ / シグナル伝達 / インシュリン |
Research Abstract |
本研究では線虫の科学走性の可塑性に注目し、可塑性におけるRas-MAPKとインシュリン経路の機能とを解析した。 1.嗅覚可塑性におけるRas-MAPキナーゼ経路の機能 匂い物質への化学走性が、その匂いへの短時間の暴露によって正から弱い負へと変化すること、Ras-MAPK系の各変異体がこの可塑性に著しい欠損を持つことを見いだしている。この嗅覚可塑性は単なる感覚神経レベルの感覚順応ではなく介在神経の機能を介したものであることを示す結果を得た。すなわち、線虫を嗅覚神経AWAで受容されるピラジンに曝すことにより、嗅覚神経AWCで受容されるベンズアルデヒドなどへの化学走性が低下した。AWC、AWAの双方から入力を受ける介在神経AIYが機能欠損するttx-3変異体はこの可塑性に欠損を示した。活性化型RasをAIYに発現させると嗅覚可塑性の欠損が見られた。以上のことから、匂い刺激により嗅覚神経からの入力によりAIYでRas-MAPK経路が活性化され、AIYの機能により匂いへの行動が変化すると考えられる。 2.化学走性の可塑性に関するDAF-2の役割 インシュリンレセプター/IGF-IIレセプターのホモログであるdaf-2の変異体は、長寿であること、感覚入力による発生過程の切り替えに異常を示すこと(構成的耐性幼虫形成)が知られている。このdaf-2変異体が、化学走行行動の連合学習に関する我々のアッセイ系で欠損を示した。PI3キナーゼをコードし、daf-2の下流で働くことのわかっているage-1の変異体で調べたところ、同様の学習欠損を示した。線虫ではインシュリン様のペプチドをコードする遺伝子は多数予想されているが、そのうちのins-1遺伝子の欠損変異体で、やはり学習欠損が見られた。これらの結果より、インシュリンシグナル伝達系が行動の可塑性にも重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saeki S, Yamamoto M, Iino Y: "Plasticity of chemotaxis revealed by paired presentation of a chemoattractant and starvation in the nematode Caenorhabditis elegans"Journal of Experimental Biology. 204. 1757-1764 (2001)
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[Publications] Hanazawa M, Mochii M, Ueno N, Kohara Y, Iino Y: "Use of cDNA subtraction and RNA interference screens in combination reveals genes required for germ-line development in Caenorhabditis elegans"Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 98. 8686-8691 (2001)