2001 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌および線虫のAAAタンパク質の構造と機能の解析
Project/Area Number |
13480232
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小椋 光 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (00158825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (90212290)
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Keywords | ATPase / プロテアーゼ / 分子シャペロン / AAAタンパク質 / タンパク質のアンフォールディング / 結晶構造 / 線虫 / 疾患モデル |
Research Abstract |
FtsHのATPaseドメインの結晶化に成功し、1.5Åの解像度で構造を決定した。生理的機能状態と考えられる6量体構造をモデリングし、これまで提唱してきた「分子間触媒モデル」の構造的基盤を得た。NSF-D2の構造に基づいて推定していた構造とは有意に異なる点も判明し、より正確な分子機構を推定できるようになった。6量体リングの孔を形成する領域で保存された芳香族残基が基質タンパク質のtranslocationに必要であることを点変異体の解析から明らかにした。この残基は、電荷を持たない比較的長い側鎖をもつ残基であることが活性に重要であることを明らかにした。また、GST-CII融合タンパク質を基質にして、プロテアーゼ活性を欠損したFtsHが基質をアンフォールドする活性をもつことを示した。 線虫の24種類のAAAタンパク質のうち、ミトコンドリアに局在するFtsHホモログやヒト遺伝性疾患あるいは実験動物の発生異常などの原因因子として同定されたホモログを中心に、RNA干渉法によるnullタイプの変異体の表現型の解析、GFP融合タンパク質を用いた局在性の解析などを行った。その結果、FtsHホモログの一つが阻害されると、胚致死・成長遅延・運動異常など複合的な異常が観察されたが、もう一つのホモログでは顕著な異常は認められなかった。前者はほぼすべての組織で発現していたが、後者は一部の組織にのみ発現していた。これらのことから、酵母ではヘテロオリゴマーを形成するこれらのタンパク質は、線虫ではそれぞれ単独で機能する可能性が示唆された。そのほかには、2つ存在するp97/VCPホモログを同時に阻害すると胚致死になること、マウスの頭部形成異常の原因因子fidgetinのホモログの阻害では、生殖腺が欠損することなどを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inagawa, T., Kato, J., Niki, H., Karata, K., Ogura, T.: "Defective plasmid partition in ftsH mutants of Escherichia coli"Mol. Genet. Genomics. 265. 755-762 (2001)
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[Publications] Ogura, T., Wilkinson, A.J.: "AAA^+ superfamily ATPases : common structure -diverse function"Genes Cells. 6. 575-597 (2001)
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[Publications] Tomoyasu, T., Arsene, F., Ogura, T., Bukau, B.: "The C-terminus of σ^<32> is not an essential determinant for degradation by FtsH"J. Bacteriol. 183. 5911-5917 (2001)
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[Publications] 小椋 光, 唐田清伸, 千葉志信, 秋山芳展: "AAAプロテアーゼ"蛋白質核酸酵素(臨時増刊号「新世紀に向けての蛋白質科学の進展」(中村春木,森川耿右,鈴木紘一,三浦謹一郎(編)). 46. 1679-1685 (2001)
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[Publications] 小椋 光: "AAA, AAA^+蛋白質に起因する疾患・発生異常"生化学. 73. 1159-1162 (2001)