2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480234
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
堀内 嵩 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (60108644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 武彦 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40270475)
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Keywords | 出芽酵母 / リボゾームRNA遺伝子 / 繰り返し遺伝子 / 遺伝子増幅 / 複製フォーク阻害 / 組み換え / 転写 |
Research Abstract |
真核生物のリボゾームRNA遺伝子(rDNA)は典型的な繰り返し遺伝子の一つである。出芽酵母では約150コピーのrDNAが染色体XII上の特定の一カ所に集中している。これまで我々はこのコピー数の増減が、各コピーに存在する複製フォーク阻害部位(RFB)で起こるフォーク阻害に依存することを見いだしている。つまり、フォーク阻害が起こらない変異(fob1)株では、rDNA領域内の組み換えが起こらず、コピー数の増減が抑制される。 RFBはrDNAの転写と複製の衝突を避けるために存在すると考えられてきた。それについて調べた。予想に反しfob1変異株では起こるはずの衝突が起こっていなかった。次に種々のコピー数を有するfob1変異株について調べたところ、コピー数の少ない株では衝突が起こっていた。しかも確かにこの衝突はrRNA遺伝子の特異的転写酵素(RNAポリメラーゼI、PolI)に依存していた。さらにfob1変異株では少ないながらrDNAコピー数に変動が起こるのに、PolIの欠損したfob1変異株では全く起こらなかった。つまり、転写と複製の衝突により組み換えが誘導され、その結果コピー数の変動が起こると考えられる。コピー数の減少による衝突の多発は、各rDNAの転写活性はコピー数が少ないほど高くなること示唆するが、これは従来のデータとよく一致する。 rDNA領域内の組み換えによって飛び出してくる環状rDNA分子の母細胞内における蓄積が出芽酵母の寿命を決定することが知られている。実際fob1変異株ではrDNA領域内の組み換えが強く抑制され、その結果環状rDNA分子の産出が減少し、最終的に寿命が延びる。rDNAコピーが減少したfob1株では、環状rDNA分子の生産はより減少し、寿命がのびると予想して調べたが、結果は野生株と正常コピーのfob1株との中間の寿命を示した。上に述べた転写と複製の衝突によって活性化された組み換えにより環状rDNA分子がある程度生産されることからこの寿命を説明できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 児玉顕二 他7名: "Amplification of Hot DNA segments in Escherichia coli"Molecular Microbiology. 45. 1575-1588 (2002)
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[Publications] 定塚勝樹, 堀内 嵩: "Replication fork block protein, Fob1, acts as an rDNA region specific recombinator in S. cerevisiae"Genes to Cells. 7. 99-113 (2002)