2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480265
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 由美子(吉村 由美子) 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
黒谷 亨 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (50195591)
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Keywords | 可塑性 / 感受性期 / 長期増強 / 視覚野 / 興奮性シナプス / T型Ca^<2+>チャネル / 神経回路発達 |
Research Abstract |
1、発達期のラット視覚野スライス標本において、4層に2Hzの電気刺激を15分間条件刺激として与えると、4層から2・3層細胞への興奮性シナプスにT型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強が発生する。この長期増強の感受性期は暗室飼育すると延長するが、その後の短期間(2日間)の視覚体験により終了する。2・3層錐体細胞のT型Ca^<2+>チャネル電流は成熟と共に減少するが、暗室飼育するとその減少は起らない。しかし、その後の短期間の視覚体験より急速に低下する。暗室成熟ラットと、その後短期間視覚体験を受けたラットの2・3層錐体細胞からホール・セル記録し、短期間の視覚体験によりT型Ca^<2+>チャネル電流に生じる変化を解析した。短期間の視覚体験により、T型Ca^<2+>チャネル電流は約40%減少したが、両実験群において、活性化は約-40mVから始まり、半分の不活性化は約-70mVで起こり、不活性化の時定数も約100msとその特性に変化は認められなかった。この結果は、短期間の視覚体験により、機能するT型Ca^<2+>チャネル数が減少することを示唆する。 2、暗室飼育後の短期間の視覚体験が長期増強の発生を抑える機構の解析を容易にする目的で、暗室飼育成熟動物から作製したスライス標本に電気刺激を加えることにより、長期増強の発生を阻止できるか調べた。NMDA受容体依存性長期増強を誘発するのに使われる高頻度刺激を与えてから1時間後に、2Hzの条件刺激を与えるとT型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強は誘発された。また、2Hzの条件刺激を1時間間隔で2回与えると2回目の刺激もT型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強を誘発した。したがって、この高頻度と2Hzの刺激は、長期増強発生を抑制するには不十分であった。刺激の回数または期間が十分でないか、あるいは刺激を受けてから長期増強の発生機構に変化が起きるまでに1時間以上かかるためと考えられる。
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