2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物に特異的なネトリンGサブファミリーの機能解析
Project/Area Number |
13480272
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
糸原 重美 理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, チームリーダー (60252524)
|
Keywords | netrin-G1 / netrin-G2 / 樹状突起 / 神経回路 / シナプス |
Research Abstract |
Netrin-G1およびNetrin-G2を同定し、その発現分布および諸性状を明らかとし、これらの分子が両方向性のシグナル伝達機構を担うことを提唱する論文を公表した(Mech. Dev.,111,47-60,2002)。脳における両蛋白質の局在を詳細に解析し、成体では軸索終末の細胞質膜上に分布すること、シナプス近傍にも分布することを明らかとし、機能的神経回路の形成維持への関与を示唆する成績を得た。脳におけるこれらの遺伝子の機能を明らかとするため、各々の遺伝子をノックアウトしたマウスを作製し、それらを解剖学的、行動学的および電気生理学的に解析した。Netrin-G1欠損マウスおよびNetrin-G2欠損マウスは共に成体まで発育し、生殖能力は正常であった。組織学的にも巨視的な異常は示さなかった。しかしながら、これらの分子をリガンドと捉えた場合の仮想的受容体(未同定)を発現すると考えられる細胞の樹状突起の形態に異常があることを、パッチクランプ法による単一細胞標識によって明らかとした。また、電気生理学的解析の結果は、これらの細胞の樹状突起におけるNMDA受容体/AMPA受容体の比率が野生型マウスのものと異なることを明らかとした。このような異常の脳機能における意義を評価するために、一連の行動学的解析を行った。それらの結果を総合的に見ると、Netrin-G1欠損マウスは感覚情報の入力処理に異常を持つこと、Netrin-G2欠損マウスは情報のより高次の統合処理過程に異常を示すと解された。これらの結果は、Netrin-G1およびNetrin-G2の発現分布の特性と良く一致しており、それらが独立した神経回路の形成維持に重要な役割を担うことを示唆している。これらの成績について、公表準備中である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Nakashiba, T., Nishimura, S., Ikeda T., Itohara, S.: "Complementary expression and neurite outgrowth activity of netrin-G subfamily members"Mechanisms of Development. 111. 47-60 (2002)