2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480277
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
井本 敬二 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00176512)
|
Keywords | イオンチャネル / Ca^<2+>チャネル / 変異マウス / 小脳失調症 / てんかん / シナプス伝達 / 脳スライス標本 / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究では、自然発生変異マウスおよびノックアウトマウスを材料として用い、イオンチャネル変異が一次的・二次的に引き起こす脳神経回路のシナプス前・シナプス後の伝達メカニズムの特性変化を解析することから、脳神経回路におけるイオンチャネルの機能と脳の基本的リズムの形成過程を検討することを目的とした。特に細胞内Ca^<2+>代謝にかかわるイオンチャネルを標的として取り上げ、Ca^<2+>代謝の持続的かつ活動依存的な変化がシナプス伝達・神経回路機能へ及ぼす影響を検討した。 具体的には、P/Q型Ca^<2+>チャネル異常マウス(tottering、leaner、rollingなどの自然発生変異マウス)において、チャネル・シナプス伝達等の変化が、どのように失調症・てんかん・不随運動などの症状発現に至るかを解析した。小脳の主要な出力細胞であるPurkinje細胞は、登上繊維と平行繊維の2つの入力を受けるが、Ca^<2+>チャネル変異マウスでは失調症の出現と相応して平行繊維-Purkinje細胞シナプスの伝達低下が見られたが、一方、登上繊維-Purkinje細胞シナプスでは伝達低下はなく、むしろ伝達の増強が見られる場合もあった。また現在プルキンエ細胞より小脳核へのシナプス伝達の変化を解析中であり、変異マウスの間で異なる変化を見出している。これらの現象は、Ca^<2+>動態の持続的な異常が、シナプス間連絡をさまざまに変化させることを示すものであり、その異常には発達におけるCa^<2+>代謝の重要性を示唆するものである。 またてんかんを有するtotteeingで、視床皮質路および皮質視床路およびそれら関連する神経細胞の特性とシナプス伝達に関する異常を系統的に検索したところ、視床より大脳皮質内への入力で抑制性の成分がとりわけ低下していることが明らかとなった。この抑制性の成分がfeedforward inhibitionの系として働くと考えられるが、抑制性インターニューロンのある集団がこの機能を担っているのではないかとの仮説のもとに、形態学的な検討を行ったが、顕著な変化は見られなかった。より微細な解析が必要であり、現在検討中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Morii T, Sato S, Hagihara M, Mori Y, Imoto K, Makino K: "Structure-based design of a leucine zipper protein with new DNA contacting region"Biochemistry. 41. 2177-2183 (2002)
-
[Publications] Matsushita K, Wakamori M, Rhyu I.-J, Arii T, Oda S, Mori Y: "Bidirectional alterations in cerebellar synaptic transmission of tottering and rolling Ca_<2+> channel mutant mice"Journal of Neuroscience. 22. 4388-4398 (2002)
-
[Publications] Kato K, Wakamori M, Mori Y, Imoto K, Kitamura K: "Inhibitory effects of cilnidipine of peripheral and brain N-type Ca^<2+> channels expressed in BHK cells"Neuropharmacology. 42. 1099-1108 (2002)
-
[Publications] Akiba I, Seki T, Mori M, Iizuka M, Nishimura S, Sasaki S, Imoto K: "Stable expression and characterization of human PN1 and PN3 sodium channels.(in press)"Receptors & Channels. (in press). (2003)