2003 Fiscal Year Annual Research Report
高速流動下における赤血球の変形動態の解析と溶血シミュレータの開発
Project/Area Number |
13480284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 成生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70240546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
山口 隆美 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30101843)
坪田 健一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10344045)
石井 勝弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30311517)
岩井 俊昭 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (80183193)
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Keywords | 計算バイオメカニクス / 赤血球 / 血流 / レオロジー / 粒子法 / 溶血 / エネルギー原理 / 連銭 |
Research Abstract |
本年度は,高速流動下における複数個の赤血球の運動や変形,衝突や凝集などの相互作用をコンピュータシミュレーションで再現するための赤血球モデルおよび大規模計算手法の開発を行い,溶血シミュレータの開発に結びつく下記の研究成果を得た. 1.血流中の複数個の赤血球の相互作用を表現するためのモデル構築 これまでに構築してきたエネルギー最小化原理に基づく赤血球膜の弾性ネットワークモデルに,離散的に表現した赤血球膜間の斥力と引力を表すポテンシャル関数を配置したモデルを作成した.ポテンシャル関数の形式や,膜の離散間隔とポテンシャルの平衡距離との関係,斥力および引力を規定する係数等について検討し,複数の柔軟な赤血球が衝突,吸着,遊離を繰り返して,連銭を形成していく過程をコンピュータシミュレーションで再現できるようにした. 2.流動中の赤血球変形挙動の観察システムの開発 高速度カメラと顕微鏡を組み合わせて,微小流路を通過する赤血球の変形挙動を観察できるシステムを構築した. 3.粒子法(MPS法)による血流解析手法の確立 エネルギー最小化原理に基づく赤血球膜の弾性ネットワークモデルと,MPS法(Moving Particle Semi-Implicit法)に基づいた血しょう流れの粒子モデルを連成させて,血液流れの粒子シミュレーションを行う手法を確立した.毛細皿管の2次元流れ場において,赤血球がパラシュート状に変形しながら流れていく様子を再現し,そのときの赤血球膜に作用する力を本手法により評価できることを確認した.これにより,流動中の個々の赤血球膜に作用する力を評価しながら溶血量を予測するシミュレーション技法の基盤が確立できた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 坪田健一, 和田成生, 山口隆美: "血しょう流れ場における赤血球運動の粒子法シミュレーション"日本機械学会第16回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 03-38. 61-62 (2004)
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[Publications] 佐藤雅俊, 和田成生, 他3名: "変形能を有する赤血球の連銭形成の計算力学シミュレーション"日本機械学会第16回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 03-38. 61-62 (2004)
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[Publications] 坪田健一, 和田成生, 山口隆美: "粒子法を用いた血液流れ-赤血球変形の連成シミュレーション"日本機械学会第16回計算力学講演会講演論文集. 03-26. 297-298 (2003)
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[Publications] K.Tsubota, S.Wada, T.Yamaguchi: "Simulation study on red blood cell motion under the flowing plasma using a particle method"Workshop on Biomechanical Engineering and Biomaterials, International Symposium on Bio-inspired System. 66-69 (2003)