2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ,メソ多孔体を用いた新しいナノ構造体の創製場(構造決定とその空隙の利用)
Project/Area Number |
13490004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大砂 哲 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60271962)
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Keywords | 電子線結晶学 / ミクロ多孔体 / 骨格構造 / BEC / Over Sampling法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノスケール複合体を創る場として、ミクロ、メソ多孔体が保有する周期的に配列した空間を利用することにある。その実現のために、ミクロ、メソ多孔体それ自体および、それらを利用して作製された複合体の構造を決定する手法を開発・発展させ、これによってナノ複合体の自己組織化過程を支配する因子と機能発現の機構を解明することが可能となる。 本年度は、透過電子顕微鏡を用いたナノスケールの構造解析手法である電子線結晶学を発展させることで、ミクロ多孔体の骨格構造を決定する、一つの新たな手法を確立した。すなわち、数多くの高分解能電子顕微鏡像を撮影することが困難なミクロ多孔体において、わずか2枚の高分解能像を用いてフーリエ再構成により導出した、ぼけた3次元ポテンシャルの再生分布の中から、制限視野回折図形から得たパターソン図を援用することにより、ミクロ多孔体に特徴的な骨格構造を強調・抽出する方法である。この方法を、研究代表者がこれまで開発してきたソフトウェアに組み込むことで実用化し、このソフトウェアを用いて実際に未知構造(BEC)を決定することで、その実用性・汎用性を確かめた。 またメソ多孔体に適用可能と期待される、「OverSampling法」と呼ばれる新たな電子回折解析手法の開発とそのソフトウェア作成を開始しており、この方法がナノ領域の高分解能像に匹敵する有用性を有する可能性を、シミュレーションを通じて実証した。 さらに本年度において、シリカメソ多孔体を鋳型として作製されたPtの3次元ネットワークのらせん構造の判定方法の開発を目指しており、高分解能低加速電圧SEM、電子線ホログラフィ、HAADFなどの手法を駆使し、その開発を試みたが、現時点では決定的な手法を見い出すに至ってはおらず、新たなアイディアに基づく画像解析および実験法のフレークスルーが必要であるとの結論に到った。
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[Publications] T.Ohsuna: "Framework determination of a polytype of zeolite Beta by using electron crystallography"J. Phys. Chem. B. 106. 5673-5678 (2002)
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[Publications] J.Miao: "Atomic resolution 3D electron diffraction microscopy"Phys. Rev. Letters. 89. 155502 (2002)