2002 Fiscal Year Annual Research Report
従業員・専門家活用型コーポレート・ガバナンス・モデルの開発
Project/Area Number |
13490023
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Research Institution | Kyushu Unviersity |
Principal Investigator |
森 淳二朗 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60079001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 不二一 (財)連合総合研究所(連合総研), 主幹研究員
小池 和男 東海学園大学, 経営学部, 教授 (50022463)
稲上 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80061224)
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Keywords | 従業員・専門家活用型コーポレート・ガバナンス・モデル / コーポレート・ガバナンス / 二つの系の企業理論 / 従業員主権 / 株主重視と従業員重視 / 所有と経営の分離 / 所有と経営の協働 / 経営者支配 |
Research Abstract |
本研究は、これまでのドイツ共同決定制度とは異なる形の従業員活用型モデルの開発を目指していた。それを実現する上で、決定的に重要な課題は、そうしたモデルが可熊であることを理論的に明快に論証することであった。この課題の解決こそ、本研究の成否を左右するものであったが、この課題を解決することができた。 それは、これまでの森理論を発展させ、株式会社を構成する所有と経営を、二つの系(「所有と経営の分離の系」および「所有と経営の協働の系」)で読み解いていくという新たな企業理論を展開できるようになったからである。これまでのすべての企業理論、そしてドイツの共同決定制度もまた、「所有と経営の分離の系」に位置づけられるものである。これに対して、新モデルは、「所有と経営の協働の系」のもとで開発できることになる。 2 本研究のもうひとつの大きな目的は、従来対立的に捉えられていた「従業員重視と株主重視」をいかにして両立させるか、それを理論的および実証的に解明することであった。この点も、上記の「二つの系の企業理論」で、理論的に解明できた。また、産業社会学、労働経済学、労働実践、企業法務の様々な観点から、国際的な理論潮流あるいはわが国のすぐれた経営実践・労働実践が、本研究のガバナンスモデルと同じベクトルを有していることが明らかにされた。企業の効率性・健全性を確保する仕組みは、経営者のレベルにとどまらず、従業員のレベルにまで踏み込んで作っていく必要があること、また、その具体策について、一定の成果をあげることができた。 3新たな「二つの系の企業理論」および「従業員とコーポレート・ガバナンスの関わり方」の成果は、大手出版社の関心を強く引きつけるところとなった。現在二つの出版企画がスタートしており、今夏刊行を目指して、研究分担者・研究協力者8名が執筆中である。
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