2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13554015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒川 政彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 直樹 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50271531)
前野 紀一 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001657)
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Keywords | 氷微粒子 / アグリゲイト / 静電加熱 / 衝突付着 / 衝突破壊 / 光電場 / 誘電分極 / 高速度撮影顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は氷微粒子の初期加速条件と氷微粒子アグリゲイトの衝突物性を詳しく調べるため,高速度デジタルビデオカメラを購入し実験・観察を行なつた.実験では,まず5μm〜1Oμmの氷微粒子が相互衝突する様子を顕微鏡下で観測し,衝突付着速度を調べた.微粒子の運動を観測するには高速度デジタルビデオカメラを用いた.撮影速度は毎秒2000コマから4000コマである.次に成長したアグリゲイト(大きさは数100μmから1mmのサイズ)が金属電極に衝突する時の衝突破壊強度を調べた.本年度用いた観測システムで計測可能な衝突速度は5m/s以下である。実際にはもっと早い速度で加速されたアグリゲイトもあったが,現在のビデオの性能と顕微鏡による拡大率から,5m/sというのが衝突をその場観測する限界である. 実験の結果,氷微粒子サイズが5〜10μmの時,0.5〜11cm/sでの衝突を直接観測することに成功した.この速度範囲では氷微粒子は破壊することもなく,また跳ね返ることもなく付着する.現在この速度以上で付着する微粒子の観察には成功していないので,今のところ付着速度が11cm/s以上であるとしか言えない.シリケイト(SiO_2)の場合,10cm/s以上ではアグリゲイトの構造が壊れ,より高い密度となるような衝突圧密が起こることが知られているが,氷の場合そのようなモードは見つかっていない.これは今回の実験が電場中で行われているため,アグリゲイトに電場から外力が加わっているためと思われる.アグリゲイトの衝突実験では衝突速度が1m/sの時,破壊することなく電極に付着することがわかった.付着したアグリゲイトは衝突時の応力により細かく振動する様子も観察された.速度が3m/s以上では電極に衝突するとアグリゲイトの構造はばらばらに壊れるのが観測された.このことから,アグリゲイトの衝突強度は金属への衝突では速度2m/s前後になると思われる.一方,加速電圧とアグリゲイトの衝突速度の関係が,高速度デジタルビデオカメラの利用により,一桁大きなところまで計測することが可能になった.これによると3kVの電位差により5m/sまで加速されることがわかった.前年度の結果を合わせると150Vから3kVまで電位差と衝突速度の関係はほぼ比例していることになる.
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[Publications] Arakawa, M.: "Impact experiments on porous icy-silicate cylindrical blocks and the implication for disruption and accumulation of small icy bodies"Icarus. 158. 516-531 (2002)
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[Publications] T.Kudo: "The role of sticky interstellar organic material in the formation of asteroids"Meteoritics & Planetary Science. 37. 1975-1983 (2002)
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[Publications] Kadono, T.: "Crack Propagation in Thin Glass Plate Caused by High Velocity Impact"Phys. Rev. E. 65. 035107(R) (2002)
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[Publications] 荒川政彦: "氷の高速度衝突と破壊"雪氷. 64. 259-267 (2002)
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[Publications] Naoki Watanabe: "Efficient formation of formaldehyde and methanol by the addition of hydrogen atoms to CO in H2O-CO ice at 10K"Astrophys. J. Left.. 571. 173-176 (2002)
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[Publications] Naoki Watanabe: "Measurements of conversion rates of CO to CO2 in UV induced reaction of D20/CO amorphous ice"Astrophys. J.. 567. 651-655 (2002)