2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能性微粒子のマイクロ四重極誘電泳動クロマトグラフ法による分離
Project/Area Number |
13554032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塚原 聡 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50207338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡會 仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30091771)
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Keywords | 誘電泳動 / 蛍光顕微鏡 / 四重極誘電泳動クロマトグラフ / 平面型四重極電極 / 生体機能性微粒子 / レクチンタンパク質 / コンカナバリンA / 酵母細胞 |
Research Abstract |
平面ガラス板に,厚さ200nmの金薄膜を蒸着させ,それを顕微鏡下で波長355nmまたは532nmのパルスレーザーでアブレーションし,平面型四重極電極もしくは八重極電極を自作する方法を確立した。 生体機能性微粒子として,酵母細胞(直径5-7μm)を選択した。酵母細胞は,人間の細胞と同じ真核細胞であり,今日医学的,生化学的な目的で大いに使用されている。これまでの研究と同様,酵母細胞一つ一つについて,平面型四重極電極を用いて誘電泳動移動度を求めた。その誘電泳動移動度の大きさと印加交流電圧の周波数に対する依存性,また酵母細胞の生・死がその誘電泳動挙動に及ぼす影響について,膜被覆球(membrane-covered sphere)モデルを用いて定性的に説明した。さらに,糖結合性を有するレクチンタンパク質の一種であるコンカナバリンA(Con A,分子量104,000)が,酵母細胞の誘電泳動に及ぼす影響について検討した。Con Aは,酵母細胞の表面に多数結合することが観測され,そのことが細胞壁の誘電的性質(誘電率)を変化させ,特に,死細胞の誘電泳動挙動にかなりの影響を与えることを明らかとした。 一方,多段で,より効率的に分離可能な誘電泳動キャピラリーの自作を様々な方法により検討した。その結果,簡単にしかも高精度で作成する方法を開発し,半径100μmの作動部分を有する長さ10〜20cmのものを作成した。まだ細胞の有効な導入法が確立しておらず,微細な分離には至っていないが,正の誘電泳動を示す酵母細胞と,負の誘電泳動を示すポリスチレン粒子を分離することに成功している。
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[Publications] 池田育浩: "レーザーアブレーション法による誘電泳動用平面マイクロ多重極電極の作製"分析化学. 51(9). 767-773 (2002)
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[Publications] Ikuhiro IKEDA: "Effects of Viability and Lectin Protein Binding on Dielectrophoretic Behavior of Single Yeast Cells"Anal. Sci.. 19(1). 27-31 (2002)