2003 Fiscal Year Annual Research Report
単電子デバイス用ナノスケールシリコン量子細線の機械的特性評価技術の開発
Project/Area Number |
13555030
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
磯野 吉正 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20257819)
|
Keywords | シリコン量子細線 / 引張り試験 / 静電アクチュエータ / 曲げ試験 / 原子間力顕微鏡 / 寸法効果 |
Research Abstract |
最終年度に当たる今年度は,オンチップ引張り試験デバイスの作製およびシリコン量子細線のAFM内曲げ試験を実施した.オンチップ引張り試験デバイスについては,第二年度に開発した櫛歯型静電気力マイクロアクチュエータ機構に,変位計測カンチレバー機構を付加したデバイスの再設計・再製作を行い,アクチュエータの性能評価を試みた.同マイクロアクチュエータは20Vの印加電圧に対して5μmの変位が出力されることが明らかとなった.しかしながら,印加電圧の増加に伴って,櫛歯層-基板層間に静電気力が増加し,40Vで櫛歯層が基板上でスティッキングを起こし,5μm以上の変位駆動には適さない結果となった.このため,オンチップ引張り試験デバイスによるナノワイヤの引張り試験が困難となったことから,ナノワイヤの力学特性評価に対してはAFM内で曲げ試験を実施することとした. AFM曲げ試験においては,電解支援酸化加工法により作製した200nm〜800nm幅の自立型シリコンナノワイヤに対して,ダイヤモンドtip付きステンレス製カンチレバーを用いて曲げ実験を実施し,ヤング率および破壊強度の試験片サイズ依存性,温度依存性について明らかにした.常温における同ワイヤの弾性定数には試験片サイズ依存性は見られなかったが,破壊強度には明確な寸法効果が現れた.また,常温〜300℃の温度領域においては,非弾性ひずみ領域の寸法効果が現れた.具体的には,200nm幅のナノワイヤにおいて,100℃という常温に近い温度においても降伏することが明らかとなった.これは,熱活性エネルギよりも微小寸法材料内に発生する高い弾性ひずみエネルギが,転位発生に大きく寄与するためと考えられる.以上の結果は,今後広く普及すると予想されるシリコン量子細線デバイスの設計において,応力および温度を十分に考慮する必要があることを示唆するものである.
|
Research Products
(1 results)