Research Abstract |
昨年度製作した干渉計の計測テストを実施した.製作当初から,位相シフトを計測対象となるミラーで行っていたため,位相シフトさせたときに生じる振動が計測結果に誤差としてのっていたことが問題となっていた.今年度はこの問題の克服のため,干渉縞の位相シフトを、ファイバに光を入れる前に光源側でおこなう形に改良した.計測対象となるミラーを完全に固定するため,昨年度よりも振動が除去できた.具体的には,偏光プリズムで分岐したレーザー光を可動式のミラーで垂直反射して戻し,ミラー位置をピエゾステージで変えることで光路長を変えて位相制御を行なう. また,干渉縞の投影面である拡散板を傾けることにより光の強度分布が計測結果にどのような影響を与えるかを調べた.画像の中心付近に強度の中心がある場合は,PV値がピークで1.5nm,最大で4nm程度であるのに対し,強度の中心がそれ以外にあるときはピークで2nm,最大で6〜8nm程度となっている.拡散板の傾斜による計測値のばらつきは,それほど大きく変わらないと思われるが,1nm弱程度は影響があることが分かった. 光源側での位相シフトを実施すべく,下図の光学系を実現する部品を手配していたが,部品が揃ったため,光学系を組みテストを開始した. また,試料表面にピントを合わせ,干渉縞を直接,CCDカメラで撮影する方法に切り替えた.理由は,計測結果の加工へのフィードバックを考えた場合,空間分解計測が重要だからである.結果は,多少悪くはなったが,一応,考えられる理由としては,干渉縞を直接,CCDカメラで撮影したことによる,干渉縞上のスペックルパターンの影響,または,位相シフトを行なっているピエゾ駆動ミラーの移動特性の問題,などが考えられる. 形状計測誤差の要因である振動への対策として,「装置系の高剛生化」,「光学系の断熱壁による遮蔽」,そして「光源側での位相シフト」導入により,形状誤差マップにこれまで現われていた干渉縞に平行な誤差分布を低減できた.これは,被計測ミラーのピエゾステージ移動をやめたことが大きい.
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