2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13555050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90209700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60111473)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 水素吸蔵 / 単層ナノチューブ / 触媒CVD / FT-ICR質量分析装置 / 生成機構 / 分子動力学法 / アルコール |
Research Abstract |
従来報告されている単層カーボンナノチューブによる水素吸蔵量の実験データは極めて大きくばらつくが,その最大の原因は,高純度かつ多量な単層カーボンナノチューブの入手が容易でない点にある.そこで,昨年度までのレーザー・オーブンカーボンナノチューブ生成装置を改良し,より大量かつ高純度の単層カーボンナノチューブの生成が期待される触媒CVD法による単層炭素ナノチューブの生成を試みた.生成された試料に対して,ラマン散乱分光,走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、熱重量分析によって検討した.この結果,Fe/Co微粒子をゼオライトに担持し,電気炉の高温雰囲気化で炭素源となるアルコールと反応させて,従来にない高純度かつ低温での単層カーボンナノチューブの合成に成功した.また,このような反応のメカニズム解明を目指して,金属クラスターとアルコールとの化学反応をFT-ICR質量分析装置にて検討した.さらに,分子動力学法シミュレーションによって,金属クラスターと炭素源が反応し,単層カーボンナノチューブの前駆体となるキャップ構造が形成する過程を検討した. 一方,単層炭素ナノチューブによる水素吸蔵特性に関しては,単層炭素ナノチューブのバンドル(7本)などの様々な幾何学形状のナノチューブと水素分子を含む系での分子動力学法シミュレーションによって,物理吸着によって可能な水素吸着量の見積もりを試みた.この結果,単層炭素ナノチューブ,多層カーボンナノチューブ,ナノホーンによる水素吸蔵量は液体窒素温度77Kにおいては,米国エネルギー省(DOE)が自動車用燃料電池の水素吸蔵材料の目標として掲げる重量密度6.5wt%程度の値を達成できるが,常温においては,1wt%以下と極めて低くなってしまうことが明らかとなった.
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[Publications] 丸山茂夫: "アルコールを使った単層カーボンナノチューブの合成技術"工業材料. 51巻1号. 38-41 (2003)
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[Publications] 丸山茂夫, 宮内雄平, 千足昇平, 河野正道: "アルコールCCVD法による単層カーボンナノチューブの低温高純度生成"日本機械学会論文集(B編). (掲載予定). (2003)
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[Publications] M.Kohno, S.Inoue, A.Yabe, S.Maruyama: "FT-ICR Studies of Precursor Clusters of Single Wall Carbon Nanotubes (SWNTs)"Micro. Thermophys. Eng.. 7-1. 33-39 (2003)
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[Publications] 澁田靖, 丸山茂夫: "単層カーボンナノチューブ生成過程の分子動力学"日本機械学会論文集(B編). 68巻675号. 3087-3092 (2002)
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[Publications] S.Maruyama, R.Kojima, Y.Miyauchi, S.Chiashi, M.Kohno: "Low-Temperature Synthesis of High-Purity Single-Walled Carbon Nanotubes from Alcohol"Chem. Phys. Lett.. 360,3-4. 229-234 (2002)
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[Publications] S.Maruyama, Y.Shibuta: "Molecular Dynamics in Formation Process of SWNTs"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 387. 87-92 (2002)