2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555053
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
飯田 嘉宏 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90005299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 邦人 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60204153)
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Keywords | マイクロポンプ / 沸騰伝播現象 / パルス加熱沸騰 / 気液相変化利用マイクロアクチュエータ |
Research Abstract |
濡れ性の高い液体を満たした流路内に置かれたヒータの一端をパルス状に加熱すると、近接箇所の発泡が次々に誘発され(沸騰伝播現象という)、気泡は流路内を一方向に成長し、他端から消滅する。本研究は、このような沸騰伝播現象を利用するという全く新しい原理に基づいたマイクロポンプを試作し性能を確かめるとともに、関与する諸パラメータについて実証的検討を行い、実用化を図ることを目的として研究を行った。本年度は、先ず、マイクロポンプとして実用化するのに必要な各技術課題について検討するとともに、沸騰伝播現象そのものについて特性を把握する実験を行った。それらの結果から適切なマクロポンプの規模、構成などを決定し、実験に供するベき試験部の設計を行って試作した。次に、実験装置を製作し、ポンプ作用を確認する実験を行った。得られた主な結果は以下の通りである。 1.加熱繰り返し周波数とヒータサイズに関するシミュレーション 本原理ではヒータを繰り返し加熱することでポンプ作用を実現するが、残留熱によりヒータ及びヒータ付近の温度が上昇し、現象の再現性が失われる。そこで、与えられた周波数で許容温度上昇範囲内となる加熱条件、ヒータサイズ、基板材質などを、3次元放熱過程に関するシミュレーションにより明らかにした。 2.沸騰伝播現象の観測と制御 半導体薄膜形成技術で作成したマイクロヒータをパルス加熱した際に生起する沸騰伝播現象の挙動を、本研究補助金にて購入した高速度ヒデオカメラで撮影し、その温度依存性などを明らかにした。また、ヒータの加熱方法を工夫することにより、本伝播現象をヒータの一端から他端に向かって任意の時刻、温度において発生させ、安定した伝播現象を起こすことに成功した。 3.マイクロポンプ作用の実験 ヒータ上にマイクロ流路を構成し、ヒータを繰返しパルス加熱する毎に、一方向への沸騰伝播現象を再現性よく繰り返し、キャピラリ管間に生じた液柱高さの差から顕著なポンプ作用が生じることを確認した。ヒータの温度変化を常時計測しつつ、わずか0.2mmx2mmの面積のヒータで、25ヘルツの加熱周波数で、最大で8mmの安定した液柱差を実現した。
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Research Products
(1 results)