2002 Fiscal Year Annual Research Report
TiN被覆した超高強度チタン合金極細線及び薄帯の開発とその応用研究
Project/Area Number |
13555177
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大内 千秋 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00312603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 政治 タイゴールド(株), 開発, 技術部・部長(研究職)
佐原 亮二 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30323075)
渡辺 雅俊 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10240524)
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Keywords | 生体内マイクロマシン / 複合材料 / 生体適合性 / TiN被覆 / 生体用新β型チタン合金 / PVDコーテイング / 極細線 / 箔帯 |
Research Abstract |
生体内マイクロマシン材料や複合材料の強化材料としての使用を目指したTiN被覆を施した超高強度チタン合金極細線及び箔帯の研究開発を行い、以下の結果を得た。 (1)新開発β型チタン合金、Ti-14Mo-3Nb-1.5Zrの生体適合性評価を生体模擬環境でのアノード分極特性、細胞培養試験及び金属イオン溶出特性について行い、5種類の既存チタン合金及び2種類のオーステナイト系ステンレス鋼との比較検討をおこなった。その結果、開発合金は充分な生体適合性を有することが確認された。また開発チタン合金をより強化する観点から新合金への侵入型元素の添加効果を検討した。酸素、窒素含有量を各々最大0.343%,0.174%まで変化させた合金を作成し、溶体化ままの硬度や冷間圧延での割れ発生限界圧延率への影響を把握したが、特に酸素は0.30%前後まで添加しても開発合金の高冷間圧延性が損なわれない事が判明した。 (2)新チタン合金の箔帯及び極細線試作を実生産規模での溶解・圧延より行った。箔圧延は実験室規模(幅30mm)で行ったが、50〜75μm厚みまでが圧延の限界であった。そこで、圧延ロールとの焼き付き防止のために、0.1mmの薄板に陽極酸化処理により酸化被膜を施し圧延した。その結果使用圧延機の圧延限界である34μm厚みまでの圧延ができ、開発合金の優れた冷間圧延性が確認された。チタン材料の冷間孔ダイス線引きで採用されている大気加熱による被膜処理で試圧延を実施し、50μmまでの極細線圧延が達成された。線引き過程での繰り返し酸化被膜処理のために線材中に多量の酸素が含有し、延性が極めて低くなるため、陽極酸化皮膜処理による線引き試験を継続中である。 (3)PVD法による極細線へのTiN被膜処理技術について、ステンレス極細線を用いて被膜構造の均一化、緻密化をはかるための操業条件の最適化の検討を行った。また、PVD炉において長尺極細線を連続的に被膜処理する方法を考案し、そのための装置図面を完成した。 (4)TiN被覆極細線を利用した複合材料化の基礎実験として、常温近傍で超塑性を発現する超微細組織のZn-Al合金薄板との積層化の検討を行った。TiN被覆したステンレス極細線を本合金薄板上に一定間隔で並べ、373Kで一定負荷のもとで加熱保持した実験を行い、接合界面状況の把握を通して最適複合化条件の検討を行った。
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