2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しいB2型強磁性形状記憶合金の開発と多機能素子への展開
Project/Area Number |
13555181
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 勝成 産業総合技術研究所, 東北センター, 主任研究員
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
石田 清仁 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20151368)
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Keywords | マルテンサイト変態 / 磁気変態 / 強磁性形状記憶合金 / Co-Ni-Al基合金 / センサー / スマート材料 |
Research Abstract |
形状記憶材料は温度を感知するセンサー機能と機械的仕事を行う駆動素子の両面を兼ね備えたスマート材料の代表例である。しかし、形状記憶効果を駆動素子として利用する場合、温度変化により応力や歪の制御をするため素子内部での熱の出入りが反応速度を決定付け、特に入力信号に対し高速応答する能力に欠けていた。近年、Ni-Mn-GaやFe-Pd系などの強磁性形状記憶合金において、熱の代わりに磁場により歪を制御できることが報告され注目を集めている。ごく最近、申請者らは今までに報告の無いCo-Ni-Al系B2合金が強磁性形状記憶材料として優れた特徴を有することを世界に先駆けて見い出した。本研究は、Co-Ni-Al系合金の磁気及びマルテンサイト変態温度等の基礎物性を調査し、磁気、応力、温度で制御可能な新しい新しいタイプの多機能形状記憶素子を開発することを目的とする。本年度は、昨年度の研究で絞られたCo-Ni-Al合金で実験を行い、以下のような結果が得られた。 (a)機械的性質および形状記憶特性の調査 B2相に種々の体積分率のγ(不規則fcc)相を析出させ、降伏応力、破断応力、伸びを調査した。その結果、20%以上のγ相を結晶粒界に存在させると、加工性や伸びなどの特性が著しく向上することが判明した。また、曲げ試験の結果、トレーニング処理を行うことにより、ほぼ100%の形状記憶特性が得られた。 (b)磁気特性および磁歪特性の調査 マルテンサイト相の結晶磁気異方性を調査し、本マルテンサイト相の異方性定数を決定した。また、単結晶試料を用いて磁歪を測定したところ、およそ0.3%程度の可逆的な磁歪が得られた。磁場誘起マルテンサイト変態についても研究を行ったが、1Tの磁場印加により1℃程度の変態温度の上昇が見られたが、顕著な磁気誘起変態は観察できなかった。 (c)駆動素子用線材の試作 駆動素子への応用を考慮し、B2+fcc2相合金を線材加工した。その結果、熱処理を工夫することにより、直径1〜0.5mm程度の線材を得ることに成功した。また、線材を用いた機械試験により、超弾性特性を得ることができた。
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[Publications] H.Morito: "Magnetocrystalline anisotropy in single-crystal Co-Ni-Al ferromagnetic shape-memory alloy"Applied Physics Letters. 81・9. 1657-1660 (2002)
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[Publications] Y.Murakami: "Magnetic domain structures in Co-Ni-Al ferromagnetic shape-memory alloys studied by Lorents microscopy and electron holography"Acta Materialia. 50. 2173-2184 (2002)