2001 Fiscal Year Annual Research Report
デュアルフェライトフェーズ型広GHz帯対応電磁波吸収体の開発
Project/Area Number |
13555183
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 諭 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10171175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40323076)
籠谷 登志夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40005343)
猪俣 浩一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90323071)
太田 博康 (株)環境電磁技術研究所, 設置環境技術研究部, 主任研究員
|
Keywords | W型フェライト / 混晶 / 電磁波吸収体 / 反射損失 / 置換量 / 整合厚さ / 透磁率 / 整合周波数 |
Research Abstract |
[目的]衛星通信,移動通信の発達により電磁波障害が社会的問題となり,GHz帯域に対応できる優れた電磁波吸収体が要求されている.最近,我々はM型フェライト磁石化合物の自然共鳴に着目し,GHz帯で対応できる電磁波吸収体を開発した.しかしながら焼結体では厚さは薄くなるが電磁波吸収を示す帯域幅が狭いという問題点を残している.本研究ではM型相と結晶構造,磁気的性質が類似しているが異なる共鳴周波数をもつW型相を,M型相とともに出現させた混晶組織からなる焼結体を作製し,両相の自然共鳴を有効利用することにより薄型で広GHz帯域で機能する電磁波吸収体の開発を目的とする.期待される研究成果としては(1)W型フェライト化合物が新たにGHz帯域電磁波吸収体の候補となること,(2)M型+W型混晶組織の制御により焼結体でも薄型・広GHz帯域対応の電磁波吸収体が開発できること,が挙げられ,本年度は前者を目的として種々の元素イオンで置換したW型フェライト化合物単相焼結体を作製し,電磁波吸収特性を調べた. [方法]W型フェライトはZnを添加することにより大気中焼成が可能となるため,Zn_2-W系でFe^<3+>を(TiM)^<3+>(M=Co, Ni, Zn, Mn, Cu)で置換したW型フェライトを作製し,X線回折により相を同定した.VSMで磁気特性,ネットワーク・アナライザーで電磁波吸収特性を測定し,置換量と電磁波吸収特性との関係,W型フェライトの電磁波吸収体としての可能性について調べた. [結果]1)SnMn,ZrMn置換した試料においてZn_2-W型フェライト相が得られ,置換量とともに磁化の値・キュリー温度・共鳴周波数frが低下した.2)frの最小値はSnMn置換試料で1.9GHz,ZrMn置換試料で2.1GHzであった.3)SnMn置換試料において反射損失R.L.〈-20dBを示し,整合周波数fmも3・5GHzから15・5GHzの間で変化した.4)以上よりW型フェライトもGHz帯域電磁波吸収体として用いることができることがわかった.
|