2002 Fiscal Year Annual Research Report
大気中で作製可能な高飽和磁束密度ナノ結晶軟磁性合金の開発
Project/Area Number |
13555190
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
牧野 彰宏 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (30315642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾藤 輝夫 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (40315643)
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Keywords | ナノ結晶軟磁性合金 / 液体急冷法 / 高飽和磁束密度 / 高透磁率 / 低鉄損 |
Research Abstract |
昨年度見出した、大気中で液体急冷可能で、かつ優れた軟磁気特性を示すFe_<84.9>Nb_6B_8P_1Cu_<0.1>合金をベースに、大気中における幅広薄帯の製造技術の検討、及びより製造の容易な材料組成の検討を行った。 1.上記合金の幅15mmの薄帯を大気中で試作した結果、薄帯の酸化を完全に防ぐことは困難であることが分かった。その原因は、薄帯の幅の増加と共に液体急冷時に薄帯に浮力が働き、冷却ロールから短時間で剥がれてしまい、結果として冷却速度が低下するためと考えられる。 2.上記合金のNbを、より酸化しづらいMoで0.5〜1.0at%置換することにより、幅15mmの薄帯においても酸化をほぼ完全に防げることを見出した。 3.NbをMoで置換した合金において詳細な組成探索を行い、Fe_<82.9>Nb_5Mo_1B_<10>P_1Cu_<0.1>合金において透磁率30,000、飽和磁束密度1.50 Tの特性を得た。Fe_<84.9>Nb_6B_8P_1Cu_<0.1>合金よりも磁気特性はやや劣るものの、大気中で容易に幅広薄帯が作製できるため、実用化にはより有利な材料であると考えられる。 4.材料の軟磁気特性と結晶粒径の分布の関係をランダム異方性モデル基づいて解析を行った結果、軟磁気特性は粒径分布に強く依存し、平均結晶粒径が同じであっても粒径分布が広がると軟磁気特性が劣化することを理論的に明らかにした。従って、昨年度見出したPとCuの複合添加による液体急冷時に析出するα-Fe相の微細化の効果が、優れた軟磁気特性実現の主たる要因であると言える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 牧野彰宏, 吉沢克仁: "ナノ結晶軟磁性材料の動向と展望"まてりあ. vol.41, no.6. 392-396 (2002)
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[Publications] A.Makino, T.Bitoh, A.Inoue, T.Masumoto: "Nb-Poor Fe-Nb-B Nanocrystalline Soft Magnetic Alloys with Small Amount of P and Cu Prepared by Melt-Spinning in Air"Scripta Materialia. vol.48, no.7. 869-874 (2003)
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[Publications] A.Makino, T.Bitoh: "As-Quenched and Nanocrystallized Structure for Nb-Poor Fe-Nb-B-P-Cu Soft Magnetic Alloys Melt Spun in Air"Journal of Applied Physics. vol.93, no.10(印刷中). (2003)
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[Publications] Y.Gao, D.Shindo, T.Bitoh, A.Makino: "Magnetic Microstructure of Fe_<84>Nb_7B_9 Alloys Observed by Electron Holography"Journal of Applied Physics. vol.93, no.10(印刷中). (2003)