2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境リスクミニマム化を図った高温高効率廃棄物発電プラント用超耐環境性鋼の開発
Project/Area Number |
13555191
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉葉 正行 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (30094288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
基 昭夫 東京都立産業技術研究所, 生産技術部・主任研究員
高橋 智 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (80260785)
筧 幸次 東京都立科学技術大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70185726)
磯本 辰郎 山陽特殊製鋼(株), 技術研究所, 所長
川原 雄三 三菱重工業(株), 横浜研究所, 主席研究員
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Keywords | 高効率廃棄物発電 / ボイラ / 加熱器管 / 高温腐食 / 塩化腐食 / ダイオキシン類 / 超耐環境性鋼 / 環境負荷低減 |
Research Abstract |
廃棄物をめぐる社会システムは現在,大きな転換期を迎えており,これを支える廃棄物処理技術においても変革が求められている.とくに,廃棄物処理過程で発生するダイオキシン類(以下,DXNsと略記)を中心とした環境(健康)リスク物質等を最小限化したうえで高度なマテリアル・サーマルリカバリーを達成できる環境プラント技術の確立が急務であり,廃棄物処理プラントの主要構成部材である廃熱ボイラ高温部で深刻な問題となっている高温腐食損傷の解決がkey issueとなっている. 本研究では,廃棄物焼却廃熱利用による高効率廃棄物発電の当面の目標加熱蒸気温度である500℃において適用可能な高耐食性を有する超耐環境性耐熱鋼の研究開発を目指した種々の検討を行う.すなわち,上述のDXNs抑止技術とボイラ材料の高温腐食抑制技術には多くの点で共通性があり,基本的には合金元素のうち酸化物や塩化物の状態でDXNs再合成反応における触媒作用を果たす元素を排除した合金設計と同時に,高温耐食性を各段に改善できる合金元素の適量添加に基づく合金設計が重要である. 本年度は,これまでの検討結果に基づいて開発候補材の選定作業を進める一方,都立産業技術研究所(研究分担者:基 昭夫)に前年度購入設置した温度可変型高温腐食試験装置においてボイラ実缶環境の腐食性環境を的確に反映させるべく,実機プラントメーカに所属する研究分担者の協力のもとに,ボイラ高温部への付着堆積灰や燃焼ガス等の環境解析サンプルを数カ所から採取して,高精度の分析情報を得るとともに,信頼性の高い高温腐食評価試験実施のための条件策定を行った. これらの準備に基づいて,合金設計により新たに溶製された数種類の超耐環境性鋼の候補材や市販の耐食合金などを対象として,4種類の腐食環境設定パターン条件により高温腐食試験を実施し,主に金属組織学的手法に基づく耐食性評価とX線マイクロアナリシスを中心とした腐食損傷解析を行い,高温腐食挙動に及ぼす主要合金元素の役割を究明するとともに,腐食損傷抑止のための保護性スケールの生成・再生要件,さらには保護皮膜の健全性を確保するための最適合金組成などについて重回帰分析等に基づいて検討を加えた.これらの成果の一部はすでに平成15年1月開催の腐食防食シンポジウムにおいて発表している.
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[Publications] 基 昭夫, 吉葉正行 他4名: "ガス封入型埋没腐食試験法による高効率廃棄物発電ボイラ材料の高温耐食性の評価"材料試験技術. 第47巻2号. 120-127 (2002)
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[Publications] 吉葉正行: "廃棄物処理プラントの高度化技術動向と部材の高温腐食問題"高温学会誌. 第28巻5号. 188-201 (2002)
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[Publications] 吉葉正行, 基 昭夫, 磯本辰郎 他2名: "高効率廃棄物発電プラント用超耐環境性鋼の開発評価"腐食防食協会第139回腐食防食シンポジウム講演資料. 17-20 (2003)