2001 Fiscal Year Annual Research Report
不揮発性メモリの実現に向けた高誘電率キャパシタ材料の低温形成
Project/Area Number |
13555194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光田 好孝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20212235)
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Keywords | 強誘電体薄膜 / チタン酸バリウム / スパッタリング / 高周波バイアス / イオン衝撃 / 低温結晶化 / 誘電特性 / ヒステリシス |
Research Abstract |
強誘電体薄膜はメモリ用キャパシタ材料の実用化を目指した動きが近年著しい。熱処理は結晶化に不可欠ではあるが,特性劣化の主要な原因でもある。一方、研究代表者は,結晶化を促進させる手段として,成長表面にイオン衝撃を加える両極性スパッタリング法を用いて,部分的に結晶化したチタン酸バリウム膜の低温化での堆積に成功している。そこで,本研究では,イオン衝撃による薄膜の結晶機構の解明,ならびに電子デバイス級の高品質な結晶膜の作製を目的とする。 本年度は,現有の両極性スパッタリング装置を用いて,代表的な強誘電体の一つであるチタン酸バリウムを研究対象に選び、基板には電子デバイスへの応用などの観点からシリコン基板を用いて,チタン酸バリウム薄膜の作製をおこなった。強誘電体特性には,堆積した薄膜の組成と結晶性が大きく影響を与える。そこで,得られる薄膜の組成が化学量論組成となるように,印加する基板バイアス条件に応じて,用いる混合粉末ターゲットの組成比を調整した。これまでに,印加する基板バイアスの平均負電位が大きくなるほど,また,スパッタリングターゲットへの投入高周波電力が高いほど,膜中のBa/Ti比が若干大きくなる傾向があることが明らかとなった。また,膜の厚さ方向の組成分布も測定した結果,初期堆積層では組成が異なっていることも判明した。より化学量組成に近い薄膜を得るためには,精密なターゲットの組成制御とターゲットの初期状態の調整が必要不可欠と考えられる。
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