2001 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴケミストリーサイクル構築のための超臨界水中反応による糖からの化学原料合成
Project/Area Number |
13555211
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿尻 雅文 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60182995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福里 隆一 SCF Techno?Link, 代表(研究職)
田嶋 聖彦 野口研究所, 研究部, 主任研究員 (80083757)
新井 邦夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005457)
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Keywords | 超臨界水 / 反応速度 / 有機合成 / レトロアルドール縮合 / 脱水反応 / 異性化反応 / アミド化 / 糖類 |
Research Abstract |
糖類はバイオマスの主要物質であり水と二酸化炭素の光合成により形成するため、大気中の炭素循環を崩すことがなく、地球温暖化物質の排出を軽減し得る貴重な資源であると言える。また、糖類を出発物質とした場合、従来の石油化学工業により合成される大部分の物質を誘導可能である。これらの観点から、これまでにない環境適合型の化学原料合成プロセスの構築が期待できる。さらに、超臨界水の「反応の制御性」、「クリーンな溶媒」といった特長を利用することで、よりグリーンなプロセスとなる可能性が高い。本年度は、そのための基礎研究として、超臨界水中での糖類の主分解反応経路及びその反応特性を明らかにするとともに、超臨界水の有機合成場としての可能性を評価することを目的とした。 まず、グルコース及びフルクトースの2種類の糖を用いた超臨界水中での分解実験、及び分解速度の温度圧力依存性を評価した。その結果、超臨界水中でのグルコースの主分解反応はレトロアルドール縮合とフルクトースへの異性化反応であり分子内脱水反応は進行しにくいこと、また、反応の温度圧力依存性に関し、レトロアルドール縮合は高温低圧ほど促進され、逆に高圧ほど脱水反応が促進されることを明らかとした。 次に、糖の修飾法のとして、アンモニアによるアミノ化、アミド化を想定し、無触媒反応の可能性を検討した。従来の有機合成反応では知られていなかった超臨界水中でのアミド基と水酸基間の無触媒脱水反応に関して、モデル物質として1-ヘキサノールとアセトアミドを用いた回分式反応器によるN-ヘキシルアセトアミド合成ならびにヘキシルアミン合成を検討した。その結果、温度400℃、反応時間60分、水密度0.3g/mLではヘキサノールとアセトアミドの脱水反応(アミド化)によりN-ヘキシルアセトアミドを合成し得ることを明らかとした。 以上、超臨界水中での糖類の「制御された分解」による化学原料合成、及びOne-pot反応による有機合成の高い可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 後藤浩太朗、田嶋聖彦、佐々木満、阿尻雅文、新井邦夫: "亜臨界、超臨界水中での糖類の分解反応機構"高分子論文集. 58(12). 685-691 (2001)
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[Publications] 伊藤英恵、西山淳子、阿尻雅文、新井邦夫: "超臨界水中でのε-カプロラクトンとアンモニアの反応によるε-カプロラクタムの合成"高分子論文集. 58(12). 679-684 (2001)