2002 Fiscal Year Annual Research Report
高分子微粒子製剤における徐放制御技術の確立とその製剤化プロセスの構築
Project/Area Number |
13555215
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北村 吉朗 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90032945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117471)
安藤 秀一 第一製薬(株), 製剤研究所, 副主任研究員
吉澤 秀和 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (20244262)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 微粒子製剤 / マイクロカプセル / 徐放制御 / 液中乾燥法 / 生分解性高分子 / ポリ乳酸 / 初期バースト |
Research Abstract |
本研究の目的は、生理活性物質や生体関連物質を内包した生分解性高分子微粒子の開発を行い、プロセス操作因子の徐放挙動への影響を系統的に行うことで徐放挙動に影響を及ぼす主因子を抽出、徐放機構を明らかにすることにある。 そこで今年度は、昨年度から行っている水溶性薬物を内包するポリ乳酸微粒子製剤の徐放挙動に関する結果を整理可能なモデルの構築に着手し、その結果、Core-Shellモデルを提案した。 本モデルは、微粒子をその表面近傍相と内部相の2つに分類し、その2相間で薬物の分散状態には分配関係が成立すると仮定している。しかしながら、薬物量の増大に伴い表面近傍相に存在する薬物濃度が飽和に達すると、残余薬物は内部相しか分散できないと考える。その表面近傍の薬物が初期バーストとして放出されるとした。徐放曲線から決定した初期バースト量を本モデルによって整理した結果、初期バースト量を系統的に説明することができた。さらに、このことから初期バーストの形成機構を推察することができた。 一方、微粒子のマトリックスである生分解性高分子と薬物との間に分子間相互作用が働く場合について、微粒子製剤を調製し、その徐放挙動に与えるプロセス因子の影響を検討した。その結果、得られた微粒子の表面は分子間相互作用が無い場合に得られるような滑らかなものではなく、多数のシワ状の形態を呈した。このシワは表面積を増大させ、徐放速度を大幅に増大させ、初期バーストの原因ともなりうることを明らかにした。この結果は、微粒子製剤を調製するに当たって、用いる高分子と薬剤との分子間相互作用の検討が必要であることを指摘する。
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