2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555236
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
箕浦 秀樹 岐阜大学, 工学部, 教授 (40021612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 裕則 独立行政法人産業技術総合研究所, 光反応制御研究センター, センター長
松居 正樹 岐阜大学, 工学部, 教授 (60108058)
吉田 司 岐阜大学, 工学部, 助手 (90273127)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 自己組織化電析 / ナノポーラス / キサンテン系色素 / 水熱合成 |
Research Abstract |
Zn^<2+>イオンと色素分子を含む水溶液中における硝酸イオンまたは溶存酸素の電解還元反応を利用して色素担持酸化亜鉛薄膜を得ることができるという以前の我々の知見に基づき、特にエオシンYを主対象とするキサンテン系色素を用いて重点的に検討した。その結果、色素が電解還元を受ける電位での電解により得られる色素担持酸化亜鉛薄膜は、ナノメーターオーダーのボイドを有するナノポーラス構造を有し、しかも色素分子がすべて酸化亜鉛表面上に化学吸着し、電解液のアクセスを可能にする構造であることがわかった。この特異な構造形成に関する詳細な実験的検討を行った結果、還元された色素が求核的にZn^<2+>イオンに配位し、これが電解還元されて酸化亜鉛が結晶成長すること、色素が吸着したサイトはそれ以上の結晶成長が妨げられ、吸着していないサイトからさらにホモエピタキシャル的に結晶成長してゆくことなどが明らかになった。こうして得られる薄膜は、高い透過率、高い担持色素濃度などを有することもわかった。その結果、狭い波長領域にしか吸収域を有しないにもかかわらず、20mW/cm^2の白色光照射下で、エネルギー変換効率として0.8%が得られた。このことは、この膜が有望であることを示すものであろう。この手法によれば、熱処理も一切不要であるため、プラスチックスフィルム上に形成される太陽電池の作製への展望を開くものでる。なお、本補助金にて購入した定光量照射装置は、得られた膜の特性評価に極めて大きな威力を発揮している。これらの研究成果は、現在複数の特許として出願手続きを進めており、またいくつかの論文誌にも投稿中及び投稿準備中である。 また、本年度のもう一つの大きな成果は、透明導電性基板上に市販の酸化チタンコロイドをコートして得た酸化チタンコロイド膜を、チタン塩水溶液を用いて100℃で水熱処理することにより、アナターゼあるいはルチル酸化チタンにより良好にネッキングされたポーラス酸化チタン厚膜を得ることに成功したことである。この膜を用いて色素増感太陽電池を試作したところ、AM1.5の白色光照射下で4.2%のエネルギー変換効率が得られた。これも高温処理を不要とするプロセッシングであり、その意義はきわめて大きいものと考えている。これについても、現在、特許出願準備中であり、さらにそれに引き続いて論文として投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsukasa Yoshida: "Time- and Frequency-Resolved Photoelectrochemical Investigations on Nano Honeycomb TiO_2 Electrodes"Electrochemistry. 70・6(掲載決定). (2002)
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[Publications] Torsten Oekermann: "Photoelectrochemical Properties of ZnO/Tetrasulphophthalocyanine Hybrid Thin Films Prepared by Electrochemical Self-Assembly"Physical Chemistry Chemical Physics. 3. 3387-3392 (2001)