2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00167769)
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Keywords | ポルフィリン / キラリティー / 自然分晶 |
Research Abstract |
キラルなサドル型ポルフィリンを、剛直なキシリレンリンカーで連結した環状二量体において、光学活性なマンデル酸を作用させると、ポルフィリン同士の相対的なねじれが誘起され、サドル型ポルフィリンモノマーと比べCD強度がひと桁程度増加することが分かった。また、上下方向にピリジル基を有するキラルサドル型ポルフィリンとある種のプラチナ錯体を等量混合した系において、プラチナへのピリジル基の配位によりサドルポルフィリンが積層したカラム状構造が生成し、サドルポルフィリンに対し触媒量の光学活性マンデル酸の付与によりCD強度の大幅な増加が観測された。これは、末端のサドルポルフィリンに対するマンデル酸の錯化により、リンカーである剛直なプラチナピリジル錯体を介して隣接するサドルポルフィリンの不斉誘起が逐次進行し、キラリティーの増幅が起きたためと考えられる。 一方、光学活性なアミノ酸を連結したベンゾフェノン誘導体の結晶表面において、ベンゾフェノンの増感を利用したクマリンの光二量化反応を行ったところ、1%未満の非常に小さな値ながらキラリティーの偏りが観測されることが、CDスペクトル測定により明らかになった。立体が逆のベンゾフェノン誘導体を用いた場合、CDスペクトルのパターンは反転した。また、飽和のベンゾフェノン誘導体溶液ではCDは観測されなかった。以上の結果から、不斉な結晶をテンプレートとした不斉合成の可能性が示唆された。
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