2001 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目昆虫における無核精子の機能解明と精子保存への機能利用
Project/Area Number |
13556009
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30241368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴野 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50192711)
齋藤 裕 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20142698)
伴戸 久徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20189731)
竹村 洋子 (財)大日本蚕糸会, 蚕業技術研究所, 研究員
山舗 直子 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教授 (40112578)
|
Keywords | カイコ / 有核精子 / 無核精子 / 凍結保存 / 人工授精 / 二型精子 / 系統保存 / 重複交尾 |
Research Abstract |
本年度研究計画に従い、(1)家蚕を用いて無核精子が鱗翅目昆虫の受精に必要不可欠であることを世界で初めて実験的に明らかにした。倍数体が誘起できるという家蚕の実験動物としての特徴を生かし、無核精子のみを生産する個体(3倍体)と有核精子のみを生産する個体(高温処理2倍体)を実験的に作り出すことでこれまで分離できなかった両者を分離して、重複交尾実験を行うことで証明した。(2)前述した分離精子の凍結をそれぞれ行い、人工授精により3倍体の凍結無核精子が有核精子に対して非凍結の混合精液と同様に機能することを証明した。また、3倍体精子の機能が倍数体を誘起した品種間で異なることも分かり、凍結混合精液で認められた人工受精率における大きなばらつきが、特に無核精子に由来することが示唆された。これは実験当初推測していたことだが、本研究の方向性が正しいことを意味していた。この凍結耐性の品種差異は凍結保存という実用面に応用されるだけにとどまらず、動物精子の環境適応の研究材料としてふさわしい。応用研究から基礎研究へのフィードバックの好例であり新たな研究対象となる。(3)突然変異保存品種の中で通常の交尾による継代について相当の熟練が必要なものがある。これらの系統保存を人工授精に代替できるかを検討し、可能であるとの結果を得ている。凍結も視野に入れた発展が可能となった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Sahara K., Kawamura N.: "Double copulation of a female with sterile diploid and polyploid males recovers fertility in Bombyx mori"Zygote. (in press). (2002)
-
[Publications] Kawamura N., Yamashiki N., Sahara K.: "A cause of male sterility in polyloid silkworm"Devlopment Growth and Differentiation. 43・Suppl. S122 (2001)
-
[Publications] 山舗直子, 川村直子, 佐原健: "微細構造から見た家蚕倍数体雄の不妊機構"東北蚕糸・昆虫利用研究報告. 26. 29 (2001)
-
[Publications] Kawamura N., Yamashiki N., Saitoh H., Sahara K.: "Significance of peristaltic squeezing of sperm bundles in the silkworm, Bombyx mori: Elimination of irregular eupyrene sperm nuclei of thetriploid"Zygote. 9・2. 159-166 (2001)