2003 Fiscal Year Annual Research Report
多糖修飾によるアレルゲン蛋白質の抗原構造低減化と経口免疫抑制剤の開発
Project/Area Number |
13556019
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
加藤 昭夫 山口大学, 農学部, 教授 (00035114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 真治 神協産業, 研究員
武藤 正彦 山口大学, 医学部, 教授 (40175625)
岩田 祐之 山口大学, 農学部, 教授 (40193750)
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Keywords | スギアレルゲン / 大豆アレルゲン / 経口免疫寛容 / リゾチーム-抗体 / IgE / IgG |
Research Abstract |
本研究では、多糖修飾を用いて、スギ(Cry j I)、ダイズ(Gly m Bd 30K)のアレルゲンタンパク質の抗原性・アレルゲン性を低減化し、安全な新規の寛容原の作製を目的とした。修飾多糖には天然物由来の高分子量のガラクトマンナンまたはキトサンを用い、天然に生じるメイラード反応によりタンパク質-多糖複合体を作製した。これらのタンパク質-多糖複合体とそれぞれの患者血清中のIgE・IgG抗体との結合性をELISAおよびイムノブロットにより解析した。その結果、両アレルゲンタンパク質ともIgE抗体との結合性が大幅に減少し、IgG抗体との結合性は顕著な変化はなかった。このことは、多糖により、アレルゲンタンパク質のIgEエピトープがマスクされ、抗体との結合が阻害されたためと考えられる。またIgG抗体との結合性は残存していることから、タンパク質分子の表面は完全にはマスクされておらず、寛容原としての有効性が期待できる。さらに、マウスへの腹腔投与においては、未修飾の物に比べ、IgE抗体の産生量が低下しており、アレルゲン性の低下も示唆された。一方、分子レベルでの抗原構造低減化の機構を調査するために、遺伝子工学的に作製したニワトリリゾチームの糖鎖付加変異体を作製し、モノクローナル抗体との結合性を調査し、糖鎖付加部位および糖鎖の種類による抗原性低下率の違いについて解析した。その結果、抗体結合表面領域近傍に選択的に多糖を付加した場合において、最も効率良く結合性が低下し、多糖が抗原-抗体反応の立体障害になることにより、抗原性が低下していることが明らかになった。このように、スギ・ダイズアレルゲン蛋白質、鶏卵白リゾチームのいずれも、その抗原性が多糖修飾により効率良く低減化した。これらの結果は、多糖修飾が多くのタンパク質の抗原性低下に有効であることと、安全な寛容原を簡易に作るための新規な製法であることを示している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Usui, A.Saito, N.Taniguchi, N.Nishijima, H.Azakami, A.Kato: "Reduction of antigenicity of Cryj1, major allergen of Japanese cedar pollen, by the attachment of polysaccharides"Biosci.Biotech.Biochem. 67. 2425-2430 (2003)
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[Publications] M.Usui, K.Nakamura, T.Ogawa, H.Azakami, S.Kamura, A.Kato: "Enhanced bactericidal action and masking of allergen structure of soy protein by attachment of chitosan through Maillard-type protein-polysaccharide conjugation"Nahrung. 48. 69-72 (2004)
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[Publications] M.Usui, T.Shimizu, Y.Goto, A.Saito, Kato: "Effective reduction of antigenicity of hen lysozyme by site-specific glycosylation"FEES Letters. 557. 169-173 (2004)