2002 Fiscal Year Annual Research Report
発光ダイオードを光源とする携行可能な微細藻類用小型培養装置の開発
Project/Area Number |
13556029
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (10165318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
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Keywords | 発光ダイオード / 微細藻類 / 培養 / 培養装置 / 渦鞭毛藻 / 珪藻 / 有毒微細藻類 / ペルチェ素子 |
Research Abstract |
小型携帯型培養装置の光源を選定するために、赤、緑、青の3色の発光ダイオードを用い、渦鞭毛藻と珪藻の増殖に効率的な照射波長と光量について調べた。照射による温度上昇は光源から培養容器を5cm程度離すことにより避けられたが、光量が250μmol/m^2/sを超えて強光阻害の現象が見られ、容器を20cm程度離す、あるいは遮光して半分以下の光量にすることが必要であった。実験には天然海水のほかに、珪藻と渦鞭毛藻数種の培養株を用いたが、これらのほとんどは10個の発光ダイオードを用いて培養可能であった。渦鞭毛藻Heterocapsa triquetraは赤色光で最も高い増殖を示し、Alexandrium属は青色光照射下で良好な増殖が認められたが、これはそれぞれの分類群の至適光条件の差異によるものと考えられた。また同一の株を同じ光条件下で培養を行った時、増殖速度に多少の差が認められたが、これは発光ダイオードのような幅の狭い波長の光に対する適応能力の差によると考えられた。温度調節はペルチェ素子を用いたサーモモジュールを利用したが、直方体のプラスチック製容器(30×20×20cm、保温素材なし)を加温用、冷却用の二台のペルチェ素子によってサーモコントローラで制御した結果、室温18℃において10℃から30℃までの任意の温度を保つことができた。しかし消費電力が最大40Wに上り、小型の蓄電池による連続駆動は難しかった。培養装置の温度保持のための断熱材として、やや高価であるが軽量で保温能力の高い、メラミンフォームが適当と考えられた。本研究により、発光ダイオードが藻類培養に有効であり、波長を変えることにより増殖速度を制御することが可能であることも示唆された。本研究では完全な培養装置を完成されるには至らなかったが、実用化に至る基本的な問題点はすべて解決された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Arnulfo N.Marasigan: "Prorocentrum (Prorocentrales : Dinophyceae) population on seagrass-blade surface in Taklong Island, Guimaras Province, Philippines"Plankton Biol. Ecol.. 48(2). 79-84 (2001)
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[Publications] 福代康夫: "貝類養殖の発展を阻害する有毒プランクトンの問題とその対策"日本水産学会誌. 67(5). 934-935 (2001)
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[Publications] 福代康夫: "総説:有毒微細藻類"月刊 海洋. 33(10). 685-688 (2001)
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[Publications] Shigeru Itakura: "The seasonal occurrence of Alexandrium tamarense (Dinophyceae) vegetative cells in Hiroshima Bay, Japan"Fisheries Science. 66. 77-89 (2002)
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[Publications] Mitsunori Iwataki: "New record of Heterocapsa circularisquama (Dinophyceae) from Hong Kong"Fisheries Science. 68. 1161-1163 (2002)
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[Publications] Makoto Yoshida: "Development of a portable incubation chamber for phytoplankton"Abstracts of the 10th International Conference on Harmful Microalgae. 310 (2002)