2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌性・抗酸化性を付与した可食性フィルムの調製に関する研究
Project/Area Number |
13556032
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
田中 宗彦 東京水産大学, 食品生産学科, 教授 (80092592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 明弘 キューピー(株), 研究所, 研究員係長(研究職)
石崎 松一郎 東京水産大学, 食品生産学科, 助手 (40251681)
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Keywords | 魚肉 / 水溶性タンパク質 / 可食性フィルム / 抗菌性 / 抗酸化性 / 水蒸気透過性 / 引っ張り強度 / 引っ張り伸び率 |
Research Abstract |
本研究は、冷凍すり身製造の水晒し工程をはじめとした各種水産加工現揚で大量に排出される魚肉水溶性タンパク質を回収し、ほとんど利用されていない本タンパク質から可食性フィルムを調製して、食品の加工・貯蔵に役立てることを目的としている。本年度は、主として水溶性タンパク質フィルムの調製方法とそれらの各種性状について検討を加えた。 魚肉試料としては本研究室で入手しやすくかつ水溶性タンパク質含量の高い冷凍クロカジキ肉を使用した。常法により水溶性タンパク質を抽出後、透析・凍結乾燥を行って粉末状の水溶性タンパク質を調製した。本粉末から調製したフィルム溶液を25℃で24時間乾燥することにより、可食性フィルムを調製した。やや黄色を帯びた透明なフィルムが得られた。フィルムの性状としては、色調、引っ張り強度、引っ張り伸び率、水蒸気透過性、固形分・タンパク質の可溶性、タンパク質分解酵素による消化性などを測定し、フィルムの形成機構についてはSDS-PAGEや表面疎水性基量の変化により検討した。フィルムの各種性状に及ぼすフィルム溶液のタンパク質濃度、pH、加熱温度・時問、可塑剤の種類と濃度、脂質添加の影響などをまず調べ、最適条件の設定を目指した。 その結果、フィルム溶液の水溶性タンパク質濃度3%、pH10以上、加熱温度70℃、加熱時間15分問でフィルムが形成できることを明らかにした。本フィルムは極めて脆いため、各種可塑剤を添加して柔軟で取り扱いやすいフィルムの開発を次に行った。可塑剤としてグリセリンをタンパク質に対して50%添加すると、柔軟である程度の強度を保持したフィルムとなることが判明した。また、脂質をフィルム溶液に取り込むことにより、フィルムの水蒸気透過性を低下することができた。今後は、抗菌剤や抗酸化剤を添加したフィルムを作成し、それらフィルムの性状を測定する。
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