2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物ウイルス感染症防除のための分子擬態利用技術の開発
Project/Area Number |
13556045
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 道浩 神戸大学, 農学部, 助手 (90301283)
杉本 千尋 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (90231373)
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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Keywords | ニューカッスル病ウイルス / 分子擬態 / ファージディスプレイ法 |
Research Abstract |
ウイルス、細菌などの病原体には標的細胞への吸着の際、細胞表面糖鎖を利用しているものが多くある。そこで感染症防除のためのこれらの糖鎖を擬態できるようなペプチドを探索・同定し分子擬態利用法を開発するため、昨年度に引き続きニューカッスル病ウイルス(NDV)に対するレセプター構造(糖鎖)を分子構造的に模倣するレセプター擬態ペプチド分子を探索した。NDV HN抗原を標的として特異的に結合するペプチド分子をランダムペプチド(6mer〜8mer)ライブラリーよりファージディスプレイ法とバイオパンニング法によりスクリーニングした。その結果、NDV HN抗原に対して結合するファージクローンを数種取得し、さらにELISA法でその特異的結合能を解析したところ、3種類のファージクローンが得られた。得られたクローンの塩基配列及びコードするアミノ酸残基を解析した結果、EVSHPKVG、WVTTSNQW、SGGSNRSPの3種類のアミノ酸配列が擬態分子として同定された。さらに各ファージクローンのNDV特異的結合能は、抗NDVニワトリ抗血清を利用したELISA競合阻止試験によっても確認された。 これらのアミノ酸配列をもとに作製した合成ペプチドは、NDVの赤血球凝集活性は阻止しなかったが、ウイルス中和試験の結果、部分的に感染中和活性を持つことが示された。このことから、ファージディスプレイ法の有用性が確認されるとともに、NDV感染制御に対する新たなアプローチ方法が示された。今後、これらのペプチドが結合するNDV粒子状の分子を明らかにするとともに、そのアミノ酸配列をもとに、よりNDV感染阻止能力の高いアミノ酸配列を模索し、in vivoにおける効果を検討することが、臨床応用に向けて必要となる。
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Research Products
(1 results)