2001 Fiscal Year Annual Research Report
牛白血病発症に関連するウシ主要組織適合遺伝子を検出するための診断技術の開発
Project/Area Number |
13556055
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
間 陽子 理化学研究所, 分子ウイルス学研究ユニット, ユニットリーダー(研究職) (50182994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 光夫 社団法人家畜改良事業団, 家畜改良技術研究所・遺伝検査部, 課長
森田 裕 チッソ株式会社, 新事業開発室, バイオセンサー部長
田島 茂 理化学研究所, 分子ウイルス学研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (60311346)
|
Keywords | ウシ主要組織適合抗原系統樹 / (BoLA)-DRB3 / 牛白血病ウイルス(BLV) / 地方病性牛白血病(EBL) / PCR-Sequence-Based Typing(SBT)法 / 対立遺伝子頻度 / 疾患感受性 / 同義置換・非同義置換 |
Research Abstract |
主要組織適合抗原(MHC)は免疫応答を誘導する高度に多型に富む分子であり、疾患感受性の個体差をもたらすことから、自然選択の影響を強く受けていると考えらる。我々は以前に牛白血病ウイルス(BLV)が誘発する地方病性牛白血病(EBL)の発症がウシMHC(BoLA)-DRB3によって規定されていることをみいだした。そこで、EBLに感受性及び抵抗性の牛群が有するDRB3遺伝子の特徴について詳細に解析した。BLV感染健康牛43頭、持続的リンパ球増多症(PL)牛15頭、白血病発症牛23頭及び非感染正常牛200頭のDRB3タイピングをPCR-Sequence-Based Typing(SBT)法で行った。各牛群の検定はGoudetとRaymondの2倍体集団の有意差検定法を用いた。その結果、健康と発症牛群、及び正常と発症牛群の間に有意差があった。そこで、BLV感染牛について発症及び健康群の有するアリルの塩基配列に基づく系統樹(平均距離法)を作成した。アリルは2つに分岐した。そこで、各アリル集団(A :6種及びB :12種)の頻度を算出した結果、Aは健康牛群で36%であったのに対し発症牛群では11%と減少していた。次に、各アリルのアミノ酸配列を比較したところ、Aに属するアリルは全てDRβ鎖の78番目のアミノ酸残基がValであり、Bに属するアリルではTyrであった。また、47番目と77番目のアミノ酸残基は、Aの大部分ではPhoとArgであり、Bの大部分ではTyrとThrであった。これらのアミノ酸残基の選択圧をSuzukiとGojoboriの方法に従い計算した結果、いずれも正の選択圧を受けていた。従って、機能的に重要な残基であることが推測された。以上の結果は、感受性と抵抗性アリルが別々の祖先より進化したことが、疾患感受性の個体差をもたらしたと考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Takeshima S., Ikegami M., Morita M., Nakai Y., Aida Y: "Identification of new bovine BoLA-DRB3 alleles by sequence-based typing"Immunogenetics. 53. 74-81 (2001)
-
[Publications] Tana, Watarai S., Aida Y., Tajima S., Kaikidani H., Onuma M: "Growth inhibition of cancer cells by co-transfection of diphtheria toxin A-chain gene plasmid with bovine leukemia virus-Tax expression vector"Microbiol Immunol.. 45. 447-455 (2001)
-
[Publications] Tajima S., Aida Y.: "Mutant Tax proteins from bovine leukemia virus with ability to activate the cxpression of c-fos"J. Virology. 76. 2557-2562 (2002)
-
[Publications] Takeshima S., Nakai Y., Morita M., Aida Y: "Characterization of DRB3 alleles in the MHC of Japanese Shorthorn cattle by polymerase chain reaction-sequence-based typing"J. Dairy Science. (in press).
-
[Publications] 間陽子: "農学領域におけるゲノムサイエンスの展開(Part2)"ウシゲノム解析と抗病性[1]""農業および園芸. 76. 1187-1193 (2001)
-
[Publications] 間陽子: "農学領域におけるゲノムサイエンスの展開(Part2)"ウシゲノム解析と抗病性[2]""農業および園芸. 76. 1289-1294 (2001)