2003 Fiscal Year Annual Research Report
リーシュマニア原虫無鞭毛型虫体特異的蛋白を標的とした診断法およびワクチンの開発
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13557020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 芳嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00173922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河津 信一郎 厚生労働省, 国際医療センター研究所・地域保険医療研究部, 室長(研究職) (60312295)
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90251420)
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Keywords | リーシュマニア症 / 無鞭毛型原虫 / 血清学的診断 |
Research Abstract |
我々は昨年度までにリーシュマニア原虫の無鞭毛型蛋白のうち強い免疫原性を持つものとしてペルオキシドキシン(Lm-PXN)の同定を行った。本年度は、Lm-PXNの組換え蛋白を作製することにより、Lm-PXNを用いたリーシュマニア症の血清学的診断の開発を目的とした。まず、すでに報告のあるPXNの遺伝子配列を元に、L.major RM2のゲノム遺伝子より目的遺伝子のORF全領域を増幅するプライマーの作製を行った。PCR産物を大腸菌組換え蛋白作製用のベクターに組み込み、大腸菌による発現、目的蛋白の精製を行ったところ、予想される分子量に相当する25kDaの組換えLm-PXN (rLm-PXN)が得られた。次に、リーシュマニア症の重要な保虫宿主の一つであるイヌにおける血清学的診断を目指して、実験的にL.major RM2を感染させたビーグル血清およびリーシュマニア症の汚染地域であるトルコで採取したイヌ血清におけるrLm-PXNへの反応性をELISAにより検討した。その結果、非感染時におけるビーグル血清は反応性が低いのに対して、感染後4週のビーグル血清は著しく強い反応性を示した。また、トルコイヌ血清においてはバイオプシーによる直接診断で陽性だった検体において、rLm-PXNに対する強い反応性を示した。rLm-PXNに対する血清の反応性と原虫感染の間に正の相関が見られたことから、この強い免疫原性をもつリーシュマニア原虫蛋白Lm-PXNはリーシュマニア症の血清学的診断に有用であると考えられる。
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[Publications] Okuno T.et al.: "Applications of recombinant Leishmania amazonensis expressing egfp or the b-galactosidase gene of for drug screening and histopathological analysis."Experimental Animals. 52. 109-118 (2003)
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[Publications] Matsumoto Y.et al.: "New epidemics of parasitic diseases attendant on irrigation projects"Journal of Arid Land Studies. 13. 201-208 (2003)