2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン系薬剤の毒性評価法確立および低毒性抗癌剤の開発
Project/Area Number |
13557028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 和彦 広島大学, 医学部, 教授 (00250738)
柴原 茂樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70206142)
佐藤 治男 株式会社佐藤薬学研究所, 所長(研究職)
小川 和宏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30344659)
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Keywords | ヘム / ポルフィリン / ヘムオキシゲナーゼ-1 / Bach1 / Nrf2 / 転写因子 / 発現調節 / 低酸素応答 |
Research Abstract |
本年度は、ヘムにより誘導されるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現調節機構の解明が最も進展した。 まず、哺乳類初のヘム結合性・ヘム調節性転写因子として我々が前年度に同定したBach1が、in vivoでHO-1の発現を抑制していることを証明した(論文業績1)。更に転写抑制因子であるBach1と、転写活性化因子であるNrf2による拮抗的なHO-1の転写調節機構の存在も示した。これは、異物や活性酸素など種々のストレスによるNrf2を介するHO-1の誘導と、ヘムによるBach1を介するHO-1の誘導との接点を明らかにしたものであり、ポルフィリン系薬剤の作用点の有力候補の1つと考えられる。 また癌組織とも関連が深い低酸素状態においては、ヒトではげっ歯類とは逆にHO-1の発現が抑制されることを我々は前年度までに報告してきた。本年度我々は、低酸素がBach1の発現を誘導して、ヒトHO-1を抑制するというメカニズムを見い出した(論文業績3)。すなわち前年度に報告した、ヘムによるDNA結合活性の阻害というBach1の機能調節に加えて、Bach1が量的にも調節されることを示した。従ってBach1はポルフィリン化合物や(活性)酸素に対する応答反応の中心的分子であり、HO-1発現調節の種差(論文業績2)にも重要な役割を果していると考えられる。この種差は、薬剤の副作用や毒性発現の解析における実験動物の選択のための、貴重な知見を提供するものである。 この他、腫瘍細胞にはポルフィリン化合物が蓄積することや、ヘム分解酵素HO-1と腫瘍増殖との関連が既に示されているため、種々の金属ポルフィリン化合物によるHO-1の誘導能をヒト由来の腫瘍細胞を用いて検討した。その結果、強い誘導能を持つヘム以外の化合物をいくつか見い出したため、これらの化合物による誘導にBach1がどのように関与しているかを現在解析している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shibahara S, Kitamuro T, et al.: "Heme degradation and human disease : diversity is the soul of life"Antioxid Redox Signal. 4. 593-602 (2002)
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[Publications] 藤田 博美: "生体防御に関わる蛋白質"日衛誌. 56. 603-605 (2002)
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[Publications] 藤田 博美: "中毒におけるヘム代謝系-酵素阻害から転写障害へ"医学のあゆみ. 202. 915-917 (2002)
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[Publications] K.Ogawa, K.Igarashi, C.Nishitani et al.: "Heme-regulated transcription factor Bach1"J. Health Sic.. 48. 1-6 (2002)
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[Publications] H.Fujita, C.Nishitani, K.Ogawa: "Lend, Chemical Porphyria, and Heme as a Biological Mediator"Tohoku J.Exp.Med.. 196. 53-64 (2002)
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[Publications] Kitamuro T, Takahachi K, Ogawa K, et al.: "Bach 1 functions as a hypoxia-inducible repressor for the heme oxygenase-1 gene in human cells"J.Biol chem. 278. 9125-9133 (2003)