2001 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー治療薬開発を目的としたサイトカインシグナル阻害剤検索システムの構築
Project/Area Number |
13557044
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久保 允人 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (40277281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 則靖 三菱東京製薬, 創薬第3研究所, 研究員
坂井 薫 三菱東京製薬, 創薬第3研究所, 主任研究員
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Keywords | サイトカインシグナル / T細胞機能分化 / Th1 / Th2 / IL-4 |
Research Abstract |
社会環境がより複雑化してきた高度経済成長後の日本では、遺伝的素因が強く影響する小児性アレルギーに加え、成人後にアレルギーを発症するケースが多発しており、都会では3人に1人がアレルギーに悩まされている。これまで、ステロイドや免疫抑制剤等が治療に用いられていたが、その副作用のためよりアレルギー特異的に働く治療薬の開発が試みられている。花粉症を代表とするアレルギー性疾患の患者血清中には、アレルゲンと反応する免疫グロブリンE(IgE)抗体が大量に存在する。IgEは特殊な免疫グロブリンであり、B細胞がこの抗体を産生するためにはTh2と呼ばれるヘルパーT細胞より産生されるIL-4の存在が必要である。このサイトカインの存在はアレルギー発症をつかさどるTh2の分化やB細胞のクラススイッチに必須であることが、IL-4やレセプターのノックアウトマウスから立証されている。この事からIL-4を介して誘導されるシグナル伝達系はアレルギー発症において非常に重要な働きを持つ。このL-4を介して誘導されるシグナル伝達系には、レセプターへのリガンドの会合、レセプターのリン酸化、キナーゼのリン酸化、レセプターのリン酸化によるSTAT6の活性化、STAT6の認識配列への結合など幾つかのチェックポイントが存在する。 そこで、次世代型アレルギー治療薬の開発を目的として、IL-4がアレルギーを特異的に誘発する作用機序を利用する事により、アレルギー特異的に作用する薬剤のスクリーニングシステムの構築を目指す。特に、短時間で他種類の薬剤をスクリーニングするため、ハイスロープット探索システムを導入し得るシステムの構築を目指している。本年度はSTAT6認識配列からなるレポーター遺伝子を用いたスクリーニング、レセプターとSTAT6の会合を標的としたスクリーニング、STAT6活性化過程を標的としたスクリーニング、STAT6の認識配列への結合過程を標的としたスクリーニング等のシステムの構築に重点的に取り組み、これらシステムを構築し、現在はハイスロープット探索システムへの導入について検討を行っている。レセプターとSTAT6の会合を標的としたスクリーニングとSTAT6活性化過程を標的としたスクリーニングについては、実際に協同研究者によりスクリーニングが進められており、幾つかIL-4シグナル阻害剤の候補が見つかってきている。
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[Publications] 久保 允人: "CIS3/SOCS3/SSI3 plays a negative regulatory role in STAT3 activation in the colon epithelial cells and intestinal inflammation"Journal of Experimental Medicine. 193. 471-482 (2001)
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[Publications] 久保 允人: "Novel role of Pl3-Kin CD28-mediated costimulation"Joumal of Biological Chemistry. 276. 9003-9008 (2001)
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[Publications] 久保 允人: "A mutant form of JAB/SOCS1 augments the cytokine-induced JAK/STAT pathway by accelerating degradation of wild-type JAB/CIS family proteins through the SOCS-box"Journal of Biological Chemistry. 276. 40746-40754 (2001)
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[Publications] 久保 允人: "IL-4 mediated enhancement of TGF-β1 production from naive CD4_+T cells through a STAT6 independent mechanism"European Joumal of Immunology. 193. 471-482 (2001)
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[Publications] 久保 允人: "The IL-4 Production Capability of Different Strains of Naive CD4^+T cells controls the Direction of the Helper T cell response"International Immunology. 14. 1-11 (2002)
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[Publications] 久保 允人: "Development of the atopic dermatitis (AD)-like skin lesions in signal transducers and activators of transcription(STAT)6 deficient NC/Ngamice"Journal of Immunology. 168. 2020-2027 (2002)
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[Publications] 久保 允人: "免疫2002"岸本忠三編集 中山書店. 250 (2001)
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[Publications] 久保 允人: "Annual Review 免疫 2002"奥村 康、平野 俊夫、佐藤 昇志編集 中外医学社. 310 (2001)