2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作と新規薬剤を用いたエストロゲン受容体機能制御による血管障害治療法の開発
Project/Area Number |
13557062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大内 尉義 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80168864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 勝矢 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00334384)
神崎 恒一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272540)
井上 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40251251)
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Keywords | エストロゲン受容体 / トランジェニックラット / 骨量 / 卵巣摘除 |
Research Abstract |
本研究はエストロゲン(E2)が動脈硬化の成因、予後に深く関与することに着目し、E2の血管系への作用機序を知ることで動脈硬化症の予防、治療に貢献することをめざすものである。我々は、従来知られていたE2受容体(ER)すなわちERα以外に、全長ERβ及びERβcxの同定に成功した。これらの比較から、ERα、ERβ両方のシグナルを阻害するドミナントネガティブ体も見いだし、E2に低応答性の細胞と動物モデルを開発し、その表現型を解析した。ERαのC末を欠失させた変異体(ERα1-535)をPCR法により作製し、ニワトリβアクチンをプロモータに用いた発現ベクターに挿入した完成したプラスミドを、COS-7細胞にERαもしくはERβおよびレポータであるvit-ERE-lucと共発現させ、E2依存性の転写活性化への影響をみた。その結果、ERα1-535はERαのみならずERβによるvit-EREの活性化を容量依存性に阻害し、いわゆるドミナントネガティブ体として働くことがわかった。このERα1-535発現ユニットをラット受精卵に導入しトランスジェニックラット(TGR)を作製した。少なくとも2系統で、ERα1-535の導入と発現をサザン法およびノザン法で確認した。これら2系統のラットのうち雌を6ヶ月齢において手術しSham手術群、卵巣摘除(OVX)群、OVX後E2補充(+E2)群(4週間)にわけて処置し骨量を測定した。Sham手術群、OVX群では、TGR群と野生ラット群において有意な差が見られなかった。一方、OVX+E2群においては野生群でE2補充に対して骨量減少が予防されたのに対して、TGR群には骨量減少が予防できず、OVX群と同程度の骨量減少が観察された。このTGRの血管障害モデルにおいては、OVX後の血管の肥厚の予防にE2補充が奏功し、E2低応答性は観察できなかった(未発表データ、投稿準備中)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hashimoto M, Ouchi Y(他6名): "Effects of long-term and reduced-dose hormone replacement therapy on endothelial function and intima-media thickness in postmenopausal women"Menopause. 9(1). 58-64 (2002)
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[Publications] Watanabe T, Ouchi Y(他14名): "Induction of nuclear orphan receptor NGFI-B gene and apoptosis in rat vascular smooth muscle cells treated with pyrrolidinedithiocarbamate"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21(11). 1738-1744 (2001)
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[Publications] Hashimoto M, Ouchi Y(他10名): "Effect of acute intake of red wine on flow-mediated vasodilatation of the brachial artery"Am J Cardiol. 88(12). 1457-1460 (2001)
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[Publications] Sudoh N, Ouchi Y(他12名): "Estrogen prevents oxidative stress-induced endothelial cell apoptosis in rats"Circulation. 103(5). 724-729 (2001)
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[Publications] 小川純人, 井上 聡, 大内尉義: "エストロゲン受容体α、β双方のシグナル系を抑制する変異体を発現させた、エストロゲン低応答型トランスジェニックラットを用いた骨、血管作用の解析"日老医誌. 38(Suppl). 136 (2001)
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[Publications] 大内尉義 編: "高齢女性の健康増進のためのホルモン補充療法ガイドライン"メディカルレビュー社・東京. 308 (2001)