2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作と新規薬剤を用いたエストロゲン受容体機能制御による血管障害治療法の開発
Project/Area Number |
13557062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大内 尉義 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80168864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大池 裕美子 東京大学, 医学部附属病院, 教務職員 (20359615)
神崎 恒一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272540)
井上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40251251)
渡辺 徳光 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 動脈硬化 / エストロゲン / ラロキシフェン / ERα / ERβ / マイクロアレイ |
Research Abstract |
我々は従来より進めてきたエストロゲン受容体(ER)α、ERβと血管病変の発症・進展における役割に関する研究を基盤とし、ERの発現を遺伝子操作により制御し、血管病変の発症・進展抑制の新しい治療法を開発すること、次世代のHRTの意義を探索することを目的として様々な検討を行った。今年度は、下記の成果を挙げた。(1)低用量エストロゲン(E2)はラット頚動脈バルン傷害後内膜肥厚を抑制する 結合型E2 0.625mg+プロゲステロン2.5mgによるHRTは心血管イベントに対して予防効果がなく、血栓症や乳癌の発生を増加させることがHERS, WHIで報告された。我々は低用量のE2とラロキシフェンによる血管保護作用を、ラット頚動脈バルン傷害による新生内膜肥厚モデルによって検討した。その結果、ラロキシフェンには明らかな内膜肥厚抑制効果は認められなかったが、2mg/kg/day以下の低用量E2によって、内膜肥厚は抑制され、その効果はアンジオテンシンIIタイプI受容体拮抗薬であるカンデサルタンとほぼ同等であった。(投稿準備中)(2)血管におけるE2応答遺伝子の探索 E2の抗動脈硬化作用の一部はERを介した血管壁への直接作用によるものと考えられている。我々は血管においてE2に応答する遺伝子の発現を包括的に探索した。8週齢のメスWistarラットを偽手術(Sham)群、卵巣摘除(OVX)群、卵巣摘除後E2補充(OVX+E)群に分け、それぞれから大動脈中膜を採取し、total RNAを抽出した。マイクロアレイを用いて3群間で特異的に高発現または低発現する遺伝子(群)を探索したところ、OVX+E群でcaveolin-1, 2種類のLIM蛋白(enigma, SmLIM)、Id3aの4つの遺伝子が増加していた。さらに、培養血管平滑筋細胞でE2の添加によって、これら4つの遺伝子の転写が亢進した。(投稿準備中)
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Watanabe T, Ouchi Y, et al.: "17 beta-estradiol inhibits cardiac fibroblast growth through both subtypes of estrogen receptor."Biochem Biophys Res Commun. 311(2). 454-459 (2003)
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[Publications] Watanabe T, Ouchi Y, et al.: "Estrogen receptor beta mediates the inhibitory effect of estradiol on vascular smooth muscle cell proliferation."Cardiovasc Res.. 59(3). 734-744 (2003)
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[Publications] Eto M, Ouchi Y, et al.: "Reduced endothelial vasomotor function and enhanced neointimal formation after vascular injury in a rat model of blood pressure lability."Hypertens Res.. 26(12). 991-998 (2003)
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[Publications] Ohike Y, Ouchi Y, et al.: "Lack of association of ADMA with the amelioration of endothelial dysfunction in postmenopausal women taking HRT."Geriatrics & Gerontology International. 3(suppl.1). S143 (2003)
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[Publications] Watanabe T, Ouchi Y, et al.: "Identification of estrogen-regulated genes in vascular smooth muscle cells."Atherosclerosis Supplements. Vol.4. 208 (2003)
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[Publications] Ohike Y, Ouchi Y, et al.: "Prognostic significance of flow-mediated dilatation for fatal and nonfatal vascular events in elderly daibetics."Atherosclerosis Supplements. Vol.4. 54 (2003)
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[Publications] 大内尉義 編: "改訂版高齢女性の健康増進のためのホルモン補充療法ガイドライン"メディカルレビュー社・東京(未定). (2004)