2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞保護に重点を置いた新規臓器保存液の開発
Project/Area Number |
13557101
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 浩史 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50312351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄付講座教員 (70292026)
松下 通明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20250425)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
倉内 宣明 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70322815)
陳 孟鳳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄付講座教員 (40333603)
|
Keywords | アデノシン / サイクリックAMP / アデニレートサイクラーゼ / ホスホジエステラーゼIII / アムリノン / ミルリノン / オロプリノン |
Research Abstract |
臓器移植に伴う虚血において臓器含有ATP量は減少しその代謝経路下流にあるキサンチン-ハイポキサンチン系から活性酸素を発生する。中間産物であるアデノシンはキサンチン-ハイポキサンチン系の基質であると同時に血管拡張物質として働く。肝臓を虚血するとアデノシンは肝細胞から類洞に流出し内皮細胞に取り込まれキサンチンーハイポキサンチン系の基質となり活性酸素を発生し類洞内皮細胞障害から微小循環障害へと発展する。そこでアデノシントランスポートインヒビターであるジピリダモールを温阻血傷害を受けた肝臓に投与することによってアデノシンの流れを阻害し間質及び肝細胞内のアデノシン濃度を増加させると肝エネルギー代謝は改善し肝微小循環が著名に軽減された。アデノシンの臓器保護効果は主にアデノシン受容体A2によるところが明らかにされたため,A1受容体拮抗剤であるKW3902を温阻血障害肝に用いた。その結果肝エネルギー代謝と微小循環が著名に改善された。アデノシン受容体A2にリガンドであるアデノシンが結合するとsmall G proteinがリン酸化されアデニレートサイクラーゼを活性化するので細胞内でのサイクリックAMPが上昇する。したがってアデノシンの臓器保護効果は細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックAMPの上昇によるものと仮定しこの分解酵素(ホスホジエステラーゼIII)阻害剤であるアムリノンを温阻血障害肝に投与した。すると再灌流後のサイクリックAMPは無投与群に比べ有意に上昇し、肝エネルギー代謝と微小循環は著名に改善した。以上の実験結果を基にし現在ラットの肝灌流モデルを用いてアデニレートサイクラーゼ賦活剤であるホルスコリンと市販されている3種類のホスホジエステラーゼIII阻害剤(アムリノン、ミルリノン、オロプリノン)を用いて薬剤の至的濃度と組み合わせを検討中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Taniguchi M.: "Effect of diprydamole on ischemia and reperfusion injury of canine liver"Transplantation Proceedings. 33(1-2). 933 (2001)
-
[Publications] Ishikawa H.: "Elevation of cyclic nucleotides attenuates ischemia and reperfusion injury of liver"Transplantation Proceedings. 33(1-2). 982-983 (2001)
-
[Publications] Ishikawa H.: "Role of cyclic nucleotides in ischemia and reperfusion injury in canine livers"Transplantation. (in press).