2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターを用いたインテリジェントDDSによる先端的癌分子標的治療
Project/Area Number |
13557104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉崎 巖 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70200970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学部, 助教授 (20155237)
木津 良一 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80143915)
柳衛 宏宣 帝京大学, 医学部, 講師 (30212278)
喜谷 喜徳 名古屋市立大学, 薬学部, 名誉教授
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30130040)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / インテリジェント化 / トランスフェリン-PEG-リポソーム / Oxaliplatin / トランスポーター / Qplex / 癌抑制遺伝子 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々はインテリジェント・ドラッグデリバリーシステムを駆使して、新規白金抗癌剤を腫瘍特異的に集積させ、癌抑制遺伝子導入による脱癌化に基づく難治性癌の手術を含めた集学的治療を臨床応用へと進めていきたい。ドラッグデリバリーシステムとしてトランスフェリン-PEG-リポソームを用いて中性子捕捉療法のモデル実験を行った。ボロン中性子捕捉療法(BNCT)を用いて様々な癌に対する有効な治療法の確立を目指している。BNCTは、ホウ素の安定同位体(^<10>B)に熱中性子を照射することで生じるα線によって、癌細胞のみを殺傷することを狙った癌放射線療法の1つである。TF-PEGリポソームはトランスフェリン非結合型リポソームと比較して、5倍以上の癌細胞への集積を認めた。この取り込みは過剰のトランスフェリン処理で抑制された。また、プロナーゼ処理によって経時的な細胞内取り込みが認められた。以上のことから、TF-PEGリポソームはトランスフェリンレセプターを介したエンドサイトーシスによって、細胞内に内在化していることが示唆された。In vitroにおけるBNCTの検討においては、Colon26細胞及びAsPC-4細胞において、TF-PEGリポソームがその他のリポソーム及びBSH水溶液に対して有意な殺細胞効果を示した。BSH封入TF-PEGリポソームは、in vitroにおいて高い取り込み能及び殺細胞効果を持つことが示され、すでに報告している癌組織集積能と併せて、今後、有効なBNCT製剤として応用できると考えられた。この癌への選択的な集積能力を有するTF-PEGリポソームを用いて新規白金抗癌剤を封入していく予定である。
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