2002 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛内コルチ器における変形挙動解析用プログラムの開発
Project/Area Number |
13557142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 卓二 電気通信大学, 知能機械工学科, 助教授 (10282097)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
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Keywords | 蝸牛 / コルチ器 / 振動挙動 / FEM / 連成解析 |
Research Abstract |
蝸牛内に存在するコルチ器は,音を神経インパルスへと変換する器官であり,その振動様式と神経インパルスの発火タイミングを明らかにすることは,難聴のメカニズム解明や補聴器開発のために重要である.しかし現在,実験・数値シミュレーションの両方向からその解明が行われているが,未だ不明である.そこで本研究では,コルチ器振動挙動のシミュレートを試みた. コルチ器はリンパ液中に存在するため,その振動挙動をシミュレートする際,コルチ器とリンパ液間の相互作用を考慮に入れなければならない.しかし,既製のFEMアプリケーションでは意図する条件を設定できないため,構造と流体の連成解析用プログラムを独自に開発した. 音刺激により,蝸牛内リンパ液にはfast waveとslow waveという2種類の圧力波が発生する.コルチ器はこの圧力波により駆動されるため,その周波数特性を解明することは重要である.しかし,fast wave及びslow waveをそれぞれ分離して計測することは困難であり,未だその周波数特性は明かではない.そこで,本研究において開発されたプログラムより得られるコルチ器周囲のリンパ液圧力分布と実験報告値を比較することにより,この2種類の圧力波の周波数特性を予測した.その後,この予測された圧力波を入力した際のコルチ器振動挙動を解析した.その結果,以下のことが明らかとなった. 1.fast waveは入力周波数の増加に伴い,全周波数域(〜40kHz)において徐々に増加する. slow waveは入力周波数の増加に伴い増加し,特徴周波数(characteristic frequency : CF)にて最大となり,CFより大きな周波数では急激に減少する。 2.コルチ器は基底板の蝸牛軸側の端を軸とする回転運動をする.
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