2003 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性培養皿から蛋白質分解酵素を用いずに回収する新規培養人工表皮
Project/Area Number |
13557148
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 一孝 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00246589)
野崎 幹弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70086586)
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40267117)
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Keywords | 温度応答性高分子 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 皮膚 / 表皮細胞 / 組織工学 / 再生医療 / 細胞シート工学 |
Research Abstract |
20年来にわたって臨床応用されてきた培養人工表皮移植は、重度熱傷や母斑の治療等における高度の皮膚欠損に対しきわめて有効であることが認められているが、その一方、低い生着率や感染抵抗性の低さが指摘されている。従来の培養人工表皮の作製法では培養皿からの回収の際にバクテリア由来のタンパク質分解酵素であるディスパーゼが利用されてきたが、本研究では我々が新規に開発した温度応答性培養皿を用いて培養人工表皮を作製し、その有効性を評価した。低温処理のみで回収した培養人工表皮は、底面に培養の間に沈着した細胞外マトリックスを豊富に保持していた。また、ディスパーゼにより分解を受ける細胞間接着分子もインタクトなままであった。温度応答性培養皿を用いて作製した培養人工表皮を、ラット皮膚欠損モデルに移植し、皮膚再生能を検討したところ、十分な治療成績が得られることを確認した。温度応答性培養皿を用いて作製した表皮細胞シートは5分程度で真皮層および皮下筋層に接着し、縫合の必要がまったくなかった。また、細胞-細胞間接着が維持されているため、移植直後からきわめて良好なバリア機能を有していた。このような観察は、従来法で作製した培養人工表皮では得ることができなかった。これらの成果をふまえ、東京女子医科大学形成外科にて、従来法で作製した培養人工表皮では適用できない重度の瘢痕治療の臨床応用を開始し、良好な治療成績を得た。本技術は熱傷や瘢痕治療などの皮膚欠損の治療に大きく貢献することが期待された。本成果は形成外科学会などの学会で発表した他、現在、臨床成績を中心とする投稿論文を作成中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] O.H.Kwon, A.Kikuchi, M.Yamato, T.Okano: "Accelerated cell sheet recovery by co-grafting of PEG with PIPAAm onto porous cell culture membranes"Biomaterials. 24. 1223-1232 (2003)
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[Publications] Z.Feng, M.Yamato, T.Akutsu, T.Nakamura, T.Okano: "Investigation on the mechanical properties of contracted collagen gels as a scaffold for tissue engineering"Artificial Organs. 27(1). 84-91 (2003)
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[Publications] M.Ebara, M.Yamato, M.Hirose, T.Aoyagi, A.Kikuchi, K.Sasaki, T.Okano: "Copolymerization of 2-carboxyisopropylacrylamide with N-Isopropylacrylamide Acceleraters cell detachment from grafted surfaces by reducing temperature"Biomacromolecules. 4. 334-349 (2003)
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[Publications] K.Soejima, C.Xin, M.Nozaki, T.Honda, H.Sakurai, M.Takeuchi, M.Yamato, T.Okano: "人工真皮移植におけるPlatelet Derived Wound Healing Factor (PDWHF)の併用 -ラットによる実験的研究-"日本形成外科学会会誌. 23(5). 291-299 (2003)
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[Publications] Y.Shiroyanagi, M.Yamato, Y.Yamazaki, H.Toma, T.Okano: "Transplantable urothelial cell sheets harvested noninvasively from Temperature-responsive culture surfaces by reducing temperature"Tissue Engineering. 9(5). 1005-1012 (2003)
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[Publications] M.Yamato, C.Konno, S.Koike, T.Shimizu, A.Kikuchi, K.Makino, T.Okano: "Nanofabrication for micropatterned cell arrays by combining electron Beam irradiated polymer-grafting and localized laser ablations"J.Biomed.Mater.Res. 67A. 1065-1071 (2003)