2003 Fiscal Year Annual Research Report
新たに開発した自然免疫スクリーニング系を用いた新しい作用点を有する医薬品の開発
Project/Area Number |
13557200
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90221944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保寺 登 中外製薬株式会社, 製品企画部・企画推進担当部, 部長(研究職)
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Keywords | 自然免疫 / スクリーニング / ケモカイン / TNF |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者が新たに開発した遺伝子導入ショウジョウバエを利用したスクリーニング系を用いて、自然免疫に作用する化合物を検索し、新たな免疫賦活剤や免疫抑制剤を開発することにある。これまでに、千を越す化合物・微生物抽出物についてスクリーニングし、シクロペンタン誘導体を同定した。この化合物は、ショウジョウバエ自然免疫のimd経路に作用して免疫抑制効果を示す。この化合物の作用点を同定したところ、膜上の受容体から転写因子Relishが核に移行するまでの、細胞内シグナル経路に作用していることが明らかとなった。ショウジョウバエのimd経路は、哺乳動物自然免疫系のTNF経路に共通性を示すことから、この化合物が、哺乳動物のTNF経路に抑制的に働くことが予想された。実際、ヒト正常内皮細胞を用いて、TNF刺激によるケモカイン産生への影響を調べたところ、本化合物は、TNFによるケモカイン産生に抑制的に働くことが示された。さらに、その作用点は昆虫自然免疫と同じ細胞内シグナル伝達系であることが判明した。本研究は、自然免疫系が進化的に保存されており、昆虫とヒトで共通性を示すことに着目し、遺伝子導入ショウジョウバエを利用して自然免疫に作用する化合物を検索することにより、新たな免疫賦活剤や免疫抑制剤の開発を目指すいう極めて独創的な研究であったが、新たな作用点を有する医薬品の開発にとって、予想以上に有効な戦略であることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kurata, S.: "Recognition of infectious non-self an activation of immune responses by Peptidoglycan Recognition Protein(PGRP)-family members in Drosophila"Dev.Comp.Immunol.. 28. 89-95 (2004)
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[Publications] Yajima, M., Takada, M., Takahashi, N., Kikuchi, H., Natori, S., Oshima, Y., Kurata, S: "A newly established in vitro culture using transgenic Drosophila revealed functional coupling between the phospholipase A2 -generated fatty acid cascade and lipopolysaccharide-dependent activation of the imd pathway in insect immunity"Biochem.J.. 371. 205-210 (2003)
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[Publications] 倉田祥一朗: "ショウジョウバエにおける病原体認識機構"分子細胞治療. 2. 598-604 (2003)