2002 Fiscal Year Annual Research Report
Uncage生成物量を定量可能な次世代型caged化合物の開発研究
Project/Area Number |
13557209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深作 昇 第一化学薬品(株), 合成研究所, 所長(研究職)
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00292730)
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Keywords | フルオレセイン / caged化合物 / 光誘起電子移動 / o-Nitrobenzyl基 / 計算化学 / 電荷分離状態 / Marcus理論 / レーザーフラッシュフォトリシス |
Research Abstract |
Caged化合物は、光照射により生理活性物質を放出することが可能な機能性分子であり、生物機能解明において非常に大きな役割を果たすと期待される。しかしこれまでのcaged化合物は、光照射によりどの程度の濃度の生理活性物質が放出されたかがわからないため、定量的な議論は出来なかった。本研究課題は、Uncage生成量を知ることが可能な高機能型caged化合物を創製することを目的としている。昨年度は、光誘起電子移動(PET)過程によりフルオレセイン誘導体の蛍光特性をコントロール可能であることを初めて実験的に証明することに成功した。そこで本年は、ニトロベンジルcaged基を組み込んだフルオレセイン類をデザイン・合成し、その機能評価を行った。具体的にはアミノフルオレセインにニトロベンジル安息香酸部位をアミドを介して結合させ、解除光照射前後の蛍光特性を精査した。まず解除光照射前は、p-ニトロ安息香酸誘導体ではフルオレセイン由来の蛍光がほぼ完全にクエンチされるのに対し、m-ニトロ誘導体ではある程度の蛍光が観測された。これはPET速度が両置換位置で異なることを示しており、本結果は量子化学計算を用いて算出した安息香酸部位の電子密度と良い相関を示した。次にこの化合物に対して解除光である300〜350nmの光を照射した。その結果、両化合物とも効率よくuncage反応が起き、アミノフルオレセインとの結合によるcaged能の変化はないことが示された。さらに、p-位誘導体ではフルオレセインに由来する蛍光の回復が見られ、これは解除光時間に比例することが明らかとなり、本研究課題の1つの大きな目標である高機能型caged化合物の創製に成功した。HPLCでuncage反応を追跡したところ、蛍光を発するようになったuncage後の化合物は、全uncage生成物のごく一部であることが見いだされたが、フルオレセイン自身の蛍光が強いために、uncage量を蛍光増加の形で十分に検出可能であった。現在この化合物に種々の生理活性物質をcageさせ、これを生細胞に適用する最終段階の実験を遂行中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ken-ichi Setsukinai: "Development of Novel Fluorescence Probes That Can Reliably Detect Reactive Oxygen Species and Distinguish Specific Species"J.Biol.Chem.. 278(印刷中). (2003)
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[Publications] Motohiro Nishida: "Gi and Go as a redox sensor"J.Biol.Chem.. 277. 9036-9042 (2002)
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[Publications] Satoko Maruyama: "A Novel, Cell-Permeable, Fluorescent Probe for Ratiometric Imaging of Zinc Ion"J.Am.Chem.Soc.. 124. 10650-10651 (2002)
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[Publications] 浦野 泰照: "PET理論と蛍光プローブ"現代化学. 381. 44-50 (2002)
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[Publications] Tomoya Hirano: "Improved Fluorescent Probes for Zinc, ZnAFs, Suitable for Biological Applications"J.Am.Chem.Soc.. 124. 6555-6562 (2002)
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[Publications] Hideo Takakusa: "Design and Synthesis of an Enzyme-Cleavable Sensor Molecule for Phosphodiesterase Activity Based on Fluorescence Resonance Energy Transfer"J.Am.Chem.Soc.. 124. 1653-1657 (2002)