2002 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウム毒性に対する遺伝的ハイリスクグループ同定法の開発
Project/Area Number |
13557215
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 周佐 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50186376)
宮入 伸一 日本大学, 薬学部, 教授 (50209855)
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Keywords | カドミウム / 高感受性集団 / 個体差 / 遺伝子多型 / MTF1 |
Research Abstract |
メタロチオネインは体内でカドミウムなどの有害重金属と強固に結合してその毒性の発現を抑制する。カドミウム毒性の主要標的組織は腎臓であるが,日本人の腎臓中に蓄積しているカドミウムはそのほとんどがメタロチオネインに結合して存在しており,一般成人の腎臓中に蓄積しているカドミウムの濃度はメタロチオネイン遺伝子を欠損させたマウスに腎臓障害を引き起こす濃度の数倍にものぼる。一方、メタロチオネイン合成に異常があり、カドミウムによる障害を受けやすいと考えられる一群(ハイリスクグループ)が存在する可能性も否定できない。我々は昨年度の検討によってメタロチオネイン遺伝子のプロモーター領域に塩基配列変異が存在し、これが遺伝子発現効率を低下させていることを明らかにした。そこで本年度は、プロモーター部の塩基配列変異によるプロモーター活性の低下機構、および、メタロチオネイン遺伝子の発現調節を担う主要転写因子であるMTF1の遺伝子多型について検討した。プロモーター中の変異部位周辺配列をプローブとしてゲルシフトアッセイを行ったところ、変異によって結合量が低下する核内蛋白質が存在することが明らかとなった。また、この部位にはMTF1結合配列と同じ配列が存在するが、この部位にMTF1は結合しないことも判明した。したがって、核内蛋白質の結合性の減弱化が転写効率の低下を引き起こしているものと考えられる。なお、MTF1の遺伝子多型についても検討したが対象とした約100例中にはアミノ酸変異を伴う多型は認められなかった。また、プロモーター中に変異のある人々を簡便に同定する方法を検討し、変異によって制限酵素BsgI切断部位が消失することに着目した切断断片長測定法を確立した。本法を用いてカドミウム毒性に対するハイリスクグループを同定することにより早期予防が可能になるものと期待される。
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