2002 Fiscal Year Annual Research Report
走運動時の脳内乳酸・ホルモン動態からみた運動強度の新たな評価法の確立
Project/Area Number |
13558001
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Research Institution | University of Tsukuba, Institution of Health and Sports Science |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧田 正寿 産業経済総合研究所, 人間福祉医工学部門, 主任研究員
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Keywords | 脳内乳酸 / アミン / マイクロダイアリシス / 走運動 / 運動強度 / 海馬 / c-Fos |
Research Abstract |
本研究では,in vivoマイクロダイアリシス法による脳内乳酸の検出法に加え,新たに活性化アミンや各種ホルモンをモニターするプッシュプル法を導入し,ストレスや代謝・循環反応などを同時に誘発するLT走運動速度を境に,種々の強度でラットを走らせ,その際の視床下部,海馬などにおける神経の活性化閾値が脳の活性化閾値が部位により異なることを明らかにし,脳機能を高める運動処方確立への基礎的な概念を構築することを目的とした.今回は,機能的単位としての神経核などの活動をみるのに有効なマイクロダイアリシス法をon-line化して細胞外乳酸濃度をモニターすることで,神経活動をモニターした.さらに,細胞外液の還流液を自動ポンプで採取し,ノルアドレナリンやセロトニンなどの活性化アミンを測定した.尚,プッシュプル法は測定精度が不十分なことから,ペプチドホルモンの測定のみについては,運動後のオートプシーによる摘出脳で,細胞興奮のマーカー蛋白(c-Fos)の発現をみる組織化学的手法により検証した.その結果,乳酸のon-line monitoringから,海馬の乳酸濃度変化はLT強度よりも低い強度(走速度)で十分増加することがわかった.これは,細胞興奮マーカーであるc-fosの遺伝子発現からも明らかであった.また,ノルアドレナリンやセロトニン,ドーパミンなどの濃度変化も乳酸同様の傾向を示すことがわかった.視床下部では,既にc-Fos蛋白とアルギニンバソプレッシン・オレキシンなどのペプチドホルモンとの共存からそれらを産生する神経活動がほぼLT付近にあることが判明している.これらの結果は,学習・記憶を司る海馬神経の活性化はこれまで多くの運動処方で使われてきたLT強度よりも低いレベルで可能であることを示唆し,認知機能を活性化するための運動処方はこうした基準を考慮すべきであることが示唆された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 征矢英昭: "On-line乳酸測定法による運動ストレス時の海馬乳酸動態の特性"いばらき健康・スポーツ科学. 20(in press). (2003)
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[Publications] H.Soya,, H.Kawashima: "The potential role of treadmill running below the lactate threshold in inducing brain-derived neurotrophic factor (BDNF) in the dentate gyrus of the adult rat"Proceedings II of 2002 Busan Asian Games Sports Science Congress. 247-252 (2002)
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[Publications] Soya, H.: "Stress Response to Exercise and Its Hypothalamic Regulation : Role of Arginine-Vasopressin"Exercise, Nutrition and Environmental Stress (ed. By Nose, H. and Gisolfi, C.V. and Imaizumi, K.). Cooper Publishing. 21-37 (2001)
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[Publications] 征矢英昭: "骨格筋の収縮は逆に脳神経を刺激するか?"杏林書院. 64 (2001)
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[Publications] 征矢英昭, 大岩奈青: "アロスタシスからみた運動ストレスと内分泌,日本運動生理学会,運動生理学シリーズ,4,竹宮隆・下光輝一編著,杏林書院,156-"杏林書院. 14 (2001)