2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13558041
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 文明 静岡大学, 情報学部, 助教授 (40273164)
|
Keywords | 高信頼マルチキャスト / 全順序マルチキャスト / セキュリティ |
Research Abstract |
マルチキャスト通信は、効率的に多人数に情報を配布できる技術として注目されているが、従来の1対1の通信で培われた高信頼化技術やセキュリティ技術が直接適用できない。特に、我々はリアルタイムに仮想空間を共有するための高信頼マルチキャスト技術を開発してきた。我々の提案するマルチキャストシステムでは、利用者をいくつかのドメインに分割して、同期した乱数生成機構とドメイン毎のシーケンスサーバを前提として、メッセージの全順序性、信頼性を与えている。 今年度は、マルチキャスト通信の安全性を高めるために、暗号の鍵を効率的に配布する方法を提案し、性能評価を行った。昨年度から、鍵配布サーバをドメイン毎に用意して、その間を信頼できる全順序マルチキャストを使って通信することを前提として、分散鍵配布モデルを提案し評価してきた。しかし、鍵配布サーバと端末との間でパケットロスが発生すると、鍵配布サーバが再送を行うため負荷が高まり、スケーラビリティに制約があった。これに対して、今年度は更に鍵の配布に前方誤り回復(FEC)を用いて、鍵の到着を早めることで、効率的な暗号化マルチキャストを実現した。また、FECの冗長パケットを回線の誤り率に応じて動的に増減することができるアルゴリズムを加え、回線品質に応じた適切な信頼性を提供できるようにした。シミュレーションによって、昨年度の鍵配布モデルに比べて、鍵の到着時間やサーバの負荷が減少し、スケーラビリティが向上することを確認した。 この結果は、情報処理学会の研究会において報告した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 佐藤文明: "高信頼マルチキャストにおける再送木構築方式の提案"情報処理学会論文誌. 44,3. 599-609 (2003)
-
[Publications] 佐藤文明: "Retransmission Tree Configuration with Backup Links for Reliable Multicast Protocols"Proc.of 2nd ACIS International Conference on Computer and Information Science. 255-260 (2002)
-
[Publications] 森田 悟史: "高信頼マルチキャストにおける再送木構築方式の改良"情報処理学会研究報告. 2002,54. 55-60 (2002)
-
[Publications] 鈴木 能: "アドホックネットワークにおけるマルチキャストの高信頼化方式の提案"情報処理学会シンポジウムシリーズ(DICOMO2002). 2002,9. 85-88 (2002)
-
[Publications] 高橋 周平: "信頼性マルチキャストにおける輻輳制御に関する研究"情報処理学会シンポジウムシリーズ(DICOMO2002). 2002,9. 241-244 (2002)
-
[Publications] 藤井 亮治: "セキュアマルチキャストのためのFECを用いた鍵配送方式"情報処理学会研究報告. 2002,85. 73-80 (2002)