2003 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報システムとしてとらえた高知市の地震防災統合システム開発研究
Project/Area Number |
13558049
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
中田 愼介 高知工科大学, 工学部, 教授 (20299382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 朝幸 日本大学, 理工学部社会交通工学科, 助教授 (60262036)
高木 方隆 高知工科大学, 工学部, 助教授 (50251468)
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Keywords | 地理情報システム / 高知市地震防災 / 木造建物倒壊危険度 / インフラストラクチャ / 表層地盤地震増幅 / 地震応答解析 / 南海地震 / 津波避難対策 |
Research Abstract |
高知市の地震防災統合システム構築のための以下の調査・研究をまとめた。 1)高知市の建物約14万棟を地理情報システム(ソフト名:アークビュー)として入力し建物の耐震規定の改定した年に応じた建物分類をし、さらに被災度が沖積層深さに依存することも考慮した高知市の街区ごとの木造建物被災危険度を町丁目単位で表示可能とした。死亡者密度を基にした地震補強対策の優先順位を策定した。(2003年度修士論文)一方高知市全体の木造建物の補強に関する費用対効果を考慮した分析も別途行ない、対策案として提案した。これらは倒壊になお建物データは毎年更新しなければならないので今後も継続する予定である。 2)高知市の地震時地域別出火危険度を上記木造建物データを基に、倒壊と半壊およびそれ以下で出火危険度が異なることから、兵庫県南部地震の出火危険度報告および東京消防庁の直下型地震対策報告書等を参照して、高知市の出火件数の算出を行い、地域別出火危険度の精度の高い算定を提案した。さらに、高知市中心部の地震時火災延焼遮断帯の最適分割法を提案することが出来た。(2003年度修士論文) 3)建物データ、液状化危険度地域、沖積層深さ分布、ガス配管システム、電気供給線システム、電話システムに加えて、等高線、道路幅および橋梁のデータを地理情報システム上に構築した。これにより、建物以外のインフラストラクチャーを含めた都市全体の被害予測が容易なものとなった。 4)高知市の建築物の地盤特性を考慮した地震時の地盤増幅解析を13パターン分類に分けて行い、入力時震動が場所により2倍近く異なることを公表した。(2002年度修士論文および日本建築学会論文梗概集に発表) 5)アークビューソフトに構築された建物データ群を平均50棟単位で街区ブロックモデル化し、そのうちの木造倒壊建物に対して、ブロック住民だけで24時間以内に倒壊建物から救出できるためのシステムを提案した。これには神戸市消防局レスキューパーティ1995年1月17日地震直後の対応の詳細をインタビューして出来たレポートが非常に有効であった。24時間以内に9割近くが存命のまま救出できるデータがある。 6)2003年中央防災会議の発表から、1707年宝永南海地震レベルを想定しなければならなくなり、この巨大地震時に高知市の大半が津波浸水(5m)の被害を想定しなければならない。これに対応して、これまでのGISソフトに入力したデータを下に高知市内の各地域特性に応じた津波避難対策を提案した。避難建物がある場合、無い場合での対策、及び避難建物があっても建物倒壊による避難路の道路閉塞率が高い地域など各地域の特徴により多くの非難メニュウを提案する結果となった。2月から900以上ある町内会単位の住民の自主地震対策の勉強会を地域特性に応じて精力的に始めた段階である。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 中田愼介, 佐野岳志: "木造建物の到壊による人命救助"日本建築学会四国研究報告集. 第2号. 9-10 (2002)
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[Publications] 本坊滋郎, 中田愼介: "鉄筋コンクリート構造物の耐震診断指標にける地盤特性の影響"日本建築学会四国研究報告集. 第2号. 17-18 (2002)
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[Publications] 原 武士, 中田愼介: "高知市における地震時の木造倒壊危険地区の抽出 その1 その2"日本建築学会四国研究報告集. 第2号. 27-30 (2002)
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[Publications] 真島 心, 中田愼介: "高知市の木造倒壊建物の対応(その1"日本建築学会四国研究報告集. 第3号. 29-30 (2003)
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[Publications] 本坊滋郎, 中田愼介: "2001年芸予地震で倒壊したRC造せん断破壊型建物の地震動応答解析"日本建築学会 大会論文梗概集. 2002年大会(金沢)構造系. 205-206 (2002)
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[Publications] 中田愼介, 吉岡利将: "高知市の木造倒壊建物の対応(その2)"日本建築学会四国研究報告集. 第3号. 31-32 (2003)
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[Publications] 真島 心, 中田愼介: "高知市の木造倒壊建物の対応"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2003(東海)構造系. 43-44 (2003)
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[Publications] 佐野岳志, 中田愼介: "既存RC建物に対するバットレス補強と杭基礎設計・施工の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2003(東海)構造系. 657-658 (2003)
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[Publications] 中澤和崇, 中田愼介: "高知市の地表面の地震動増幅に関するケーススタディ"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2003(東海)構造系. 253-254 (2003)
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[Publications] 伊藤瑞悦, 徳広大悟, 中田愼介: "RC建築物の部材断面変更による損傷制御及びコスト比較"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2003(東海)構造系. 937-938 (2003)
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[Publications] 高橋一仁, 中田愼介: "高知市における南海地震直後の被害対応に関する一考察"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2003(東海)計画系. 439-440 (2003)
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[Publications] 原 武士, 小八木雅典, 中田愼介, 佐野岳志: "高知市における地震時の木造倒壊危険地区の抽出 その1"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)計画系. 239-240 (2002)
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[Publications] 原 武士, 小八木雅典, 中田愼介, 佐野岳志: "高知市における地震時の木造倒壊危険地区の抽出 その2"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)計画系. 241-242 (2002)
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[Publications] 原 武士, 小八木雅典, 中田愼介, 佐野岳志: "高知市における地震時の木造倒壊危険地区の抽出 その3"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)計画系. 239-240 (2002)
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[Publications] 西谷憲治, 津野修至, 中田愼介: "2001年芸予地震で倒壊したRC造せん断破壊型建物の地震応答解析 その1 コンクリート強度変動による復元力特性の変動"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)構造系. 199-200 (2002)
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[Publications] 津野修至, 西谷憲治, 中田愼介: "2001年芸予地震で倒壊したRC造せん断破壊型建物の地震応答解析 その2 コンクリート強度変動による動的応答解析結果"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)構造系. 201-202 (2002)
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[Publications] 徳広大悟, 本坊滋郎, 中田愼介: "2001年芸予地震で倒壊したRC造せん断破壊型建物の地震応答解析 その3 地盤特性を考慮した入力地震動評価"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)構造系. 203-204 (2002)
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[Publications] 本坊滋郎, 徳広大悟, 中田愼介: "2001年芸予地震で倒壊したRC造せん断破壊型建物の地震応答解析 その4 地盤条件の変動による倒壊建物の地震応答の変動"日本建築学会大会学術講演梗概集. 大会2002(金沢)構造系. 205-206 (2002)