2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の発生初期における催奇形性ステロイドのスクリーニング
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13558085
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Research Institution | Sapporo School of The Arts |
Principal Investigator |
西野 秀昭 札幌市立高等専門学校, インダストリアルデザイン学科, 助教授 (40198487)
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Keywords | 脊椎動物 / 催奇形性 / ステロイド / コレステロール / ヘッジホッグ |
Research Abstract |
この研究では、脊椎動物の胚子発生における形態形成を正常に行わせる母体の適正な栄養摂取概念の構築を目的として、通常の食材や野草中に含まれ、胚子の発生を阻害するステロイド化合物をin vitroでスクリーニングする簡単な方法を開発することを目的とした。すなわち、ソニックヘッジホッグ(Shh)分子前駆体の成熟型変換への影響を容易に調べることができる方法を確立する基礎を構築する。 ここで調製した抗ペプチド抗体は事実上、モノクローナル抗体であり、アイソトープを用いないウエスタンブロッティングでは反応が弱く、ポジティブシグナルの判定が難しい。そこでドットブロッティングで検体を数回スポットすることで抗原濃度を上げ、シグナルを検出しやすくした。この場合、抗原はSDSなどの変性剤にさらされず、nativeな構造を保っていると考えられる。抗体が認識する抗原部位は、ヒトShh分子の中ほどであることから、立体障害の為に抗原決定基のアミノ酸配列に抗体が接近できないという可能性を検討した。すると、大腸菌ライゼートの濃度を増やしてもシグナルは有意には検出されなかった。 Shh分子は、プロセッシング後は抗原決定基のよりカルボキシル末端側で切断されることから露出した形となり、抗体が接近できるようになって抗原抗体反応が起こりやすくなることが予想される。このことを確かめてみると、予想どうりコレステロールが存在すると、ドットブロッティングでのシグナルの濃さが増した。したがって、この抗体はnativeなヒトShhには反応しないが、プロセッシング後は反応できることが判明した。 ここで調製した抗体を用いることによって、ヒトShh遺伝子産物の働きを阻害する物質の迅速な検出が今後可能になると考えられる。抗体の調製をウサギへの免疫に頼っていては供給が安定しないので、モノクローナル抗体の産生株を調製することが今後必要であろう。
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