2001 Fiscal Year Annual Research Report
長期埋植型ヒアルロン酸ヒドロゲルの設計とその子宮膜症治療への応用
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13558106
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
由井 伸彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 弘一 金沢大学, 医学部・付属病院, 講師 (20242555)
井上 正樹 金沢大学, 医学部・付属病院, 教授 (10127186)
大谷 亨 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10301201)
佐藤 郁夫 チッソ株式会社, 横浜研究所, 主任研究員
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Keywords | ヒアルロン酸 / 子宮内膜症 / アルキルアンモニウム / ヒドロゲル / 抗原性物質除去 / ヒアルロニダーゼ / イオンコンプレックス / 架橋 |
Research Abstract |
本研究では,長期埋植を可能とする生体適合性ヒアルロン酸(HA)ゲルの設計を推進し,子宮内膜症の治療を可能とする薬物放出デバイスの創製を目的としている。本年度は,1)HAのグルクロン酸単位(カンボン酸)を長鎖ジアルキルアンモニウム塩に置換してHAを非極性溶媒に可溶化する方法,2)ステロイド剤含有3次元架橋のための化学修飾、及び抗原性物質の除去・精製に関する検討,3)化学修飾による酵素分解への影響に関する検討を行った。 HAと各種ジアルキルアンモニウム塩とのイオンコンプレックス形成を水中にて検討したところ,ジステアリン酸塩酸塩(DSC)が最も収率よく回収できかつ非極性有機溶媒に可溶であった。そこで,HA水酸基のアセチル化をモデル的に有機溶媒中で行ったところ,定量的にアセチル化されかつ抗原性物質(エンドトキシン)を除去できることを確認した。これらの成果を踏まえて,HA-DSCコンプレックスの3次元架橋法を検討した。塩化けい皮酸をHA-DSC中の水酸基に導入して光架橋したヒドロゲルは,緩衝溶液中にて白濁していたがヒアルロニダーゼにより完全に分解した。このことからけい皮酸架橋法は,HAの分解性を保持した3次元架橋法として適しているものと考えられる。また,ステロイド剤を含有したメタノール溶液中にヒドロゲルを浸漬させるとステロイド剤をゲル中に保持できることも確認した。これらヒドロゲルからの薬物放出及び適合性試験は現在進行中である。 以上から,DSCとHAとのイオンコンプレックスによってこれまで不可能であった有機溶媒中でのHAの化学修飾と抗原性物質の除去を同時に可能にした。さらに,子宮内膜症の治療を目指したステロイド剤含有3次元架橋HAヒドロゲルを調製する条件を見出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] W.Kamimura, T.Ooya, N.Yui: "Transience in polyion complexation between nicotinamide-immobilized dextran and carboxymethyl dextran during enzymatic degradation of dextran"J. Biomater. Sci. Polym. Edn. 12. 1109-1122 (2001)
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[Publications] K.M.Huh, T.Ooya, W.K.Lee, S.Sasaki, I.C.Kwon, S.Y.Jeong, N.Yui: "Supramolecular-structured hydrogel showing a reversible phase transition by inclusion complexation between poly(ethylene glycol) grafted dextran and α-cyclodextrin"Macromolecules. 34(25). 8657-8662 (2001)
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[Publications] T.Ichi, J.Wananabe, T.Ooya, N.Yui: "Controlled erosion time and profile in poly(ethylene glycol) hydrogels by supramolecular structures of polyrotaxane"Biomacromolecules. 2. 204-210 (2001)
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[Publications] K.Huh, T.Ooya, S.Sasaki, N.Yui: "Novel polymer inclusion complex consisting of poly(ε-lysine) and α-cyclodextrin"Macromolecules. 34. 2402-2404 (2001)
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[Publications] 由井伸彦(河合知二編): "図解ナノテクノロジー (担当章:バイオマテリアルにおけるナノサイエンス)"工業調査会、東京. 220-223 (2001)