2004 Fiscal Year Annual Research Report
長期埋植型ヒアルロン酸ヒドロゲルの設計とその子宮膜症治療への応用
Project/Area Number |
13558106
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
由井 伸彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 亨 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10301201)
井上 正樹 金沢大学, 医学部付属病院, 教授 (10127186)
村上 弘一 金沢大学, 医学部付属病院, 講師 (20242555)
佐藤 郁夫 チッソ株式会社, 横浜研究所, 主任研究員
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Keywords | ヒアルロン酸 / 子宮内膜症 / ステロイド剤 / ヒドロゲル / 放出 / ヒアルロニダーゼ / チョコレート嚢腫モデル / 溶解 |
Research Abstract |
本研究では,長期埋植を可能とする生体適合性ヒアルロン酸(HA)ゲルの設計を推進し,子宮内膜症の治療を可能とする薬物放出デバイスの創製を目的としている。本年度は,HAに疎水性基を導入したステアロイル化ヒアルロン酸(StHA)及びグルタリル化ヒアルロン酸(GlHA)の卵巣チョコレート嚢胞用のダナゾール徐放担体としての評価を行った。StHA及びGlHAは塩化ステアロイルまたはグルタル酸無水物でHAの水酸基をエステル化して調製した。分解性の評価を、StHA、GlHA溶液をヒアルロニダーゼ(HAase)存在下で粘度の測定から行ったところ、StHAはHAase添加後160分間粘度低下が確認できず、GlHAでは約160分で、HAでは約120分で粘度が添加前の半分に低下した。このことから、ステアロイル基やグルタリル基が酵素の接近を阻害するため、分解が抑制されたものと考えられた。 SD系雌ラットから作成したモデルラットの嚢胞内の内容物を吸引除去した後、ダナゾール担持StHA/GlHA PBS溶液を嚢胞に注入し、ダナゾールの血漿中濃度、嚢胞組織中濃度の測定を行った。血中ダナゾール濃度は、StHA、GlHAの系共に実験期間中を通して経口投与の場合の1/20以下であった。また、嚢胞組織中のダナゾール濃度は2週間目から著しい減少が見られた。しかしながら、嚢胞組織を観察すると子宮内膜細胞の萎縮が見られたことから、局所投与によるダナゾールの薬理効果が認められた。すなわち、ダナゾールの局所投与により視床下部下垂体の機能を損ねずに治療効果をもたらす可能性のあることが示唆された。 これらの結果から、疎水性基を導入したHAにおいて酵素による分解時間の延長と、ダナゾールの溶解度を向上することが出来、嚢胞に注入後ダナゾールを放出させる生体適合性デバイスとして、卵巣チョコレート嚢胞の治療に有効であると考えられる。
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Research Products
(6 results)